ニース2日目(2019.06.19 Wed.)

今日はついにイングランド戦。決勝トーナメント進出はすでに決まったけれど、ここはひとつ勝って勢いをつけて欲しい。試合は午後9時キックオフ。日中はニースの市街地へ。ホテル、すなわちスタジアムの最寄鉄道駅はChemin de Fer de Provence(プロヴァンス鉄道)のSt Isidore。小さな無人駅ですが、ここはシステマティックなフランス。(少々不似合いな)デジタルの案内がちゃんとあり、あと何分で列車が到着するか表示されていた。切符は車内で。SNCFのGare de Nice Villeとは少し離れたところにこの路線の駅 Gare de Nice CPはある。まず目指すはMusée National Marc Chagall(シャガール美術館 )へ。素敵な佇まい。展示の仕方もいい。この美術館はシャガールが設計段階から参画したそうだ。なるほど!実物を見ると筆遣いや微妙なマチエールもよく分かる。思いがけないご縁。これもなでしこのお陰。ゆったりと思う存分作品を鑑賞して、庭に出る。お庭のカフェも気持ちが良さそうだったので、こちらでお昼に。クロックマダム、ハムのバケットサンド、そしてプロセッコをグラスで。プロセッコは大きなグラスにたっぷりと入ってきた(嬉)クロックマダムにはサラダがふんだんに。とても美味しい。ハムのサンドイッチ、バケットがめちゃうまい。アヴィニョンが暑かったのでさらに南下したニースはもっと暑いのかと覚悟をしたがさにあらず。空は同様に青いけれど吹く風はさらりと、思いの外すごしやすい。

シャガール美術館から徒歩でMusée Matisse(マティス美術館 )へ。好きな画家を一人だけあげよ、と問われたらマティスと即答する。大好きな画家。美術館はオリーヴの木に囲まれて佇む17世紀の赤い邸宅。ここは画家マティスが晩年を過ごした場所で、1963年より美術館として一般に公開されているそうだ。“制作を開始した1890年から亡くなる1954年まで、年代別に、画家の作風の変遷を辿ることができるように紹介”とあった通りの展示内容。こちらもとてもよかった。どちらも撮影可能。

二つの美術館だけで心が十二分に満たされ、人混みにも紛れたくないという気持ちもあり、また体力を十分に残しておきたいという思惑もあって、St Isidoreへ。ホテルへ一旦戻ってからスタジアムをまずは確認。Allianz Rivieraという名称。大会中はStade de Niceと表記される。2016年のユーロフランス大会の為に新設されたスタジアム。ゆえに市街地から遠く、同じくそのとき新設されたリヨンのスタジアムを思い出す。レンヌとはまったく違う雰囲気。まわりに食べるところもなさそうだ。スタジアムの中にはレストランがあるけれど警備の関係上もうすぐ閉まってしまうらしい。仕方なくホテルへ戻る。レストランがオープンするまでまだ大分ある。夜、庭で提供するためのバケットサンドなら用意できるという。ホテルへ戻ってから持ち帰った昼間の(とても美味しいい)バケットサンドを食べたこともあり、ありがたくご提案で手を打つことにした。外の椅子でビールと共に。勝利の前祝い!通りかかった胸にバラの刺繍が入ったポロシャツをお召しのジェントルマン。家族の誰かが出場しているのですか?と声をかけてきた。ただのサポーターです、と答える。心の中で「負けませんよ!」と吠えながら。

しかし残念なことに勝てなかった。惜しいシーンはたくさんあったのだけれど。ホイッスルが鳴ってがっくりしている私に前に座ったフランス人たちが握手を求めてきた。後ろのやけにサッカーに詳しいアメリカの男性もなでしこへの評価は高かった。この二つが救い。ホテルに戻って二人で残念会。するとまた例の紳士が通りかかった。「残念でしたね」と声を掛けくれた。ちょっとしたことに心がじんわりする敗戦の夜。