リベンジ高山(2019.11.16 Sat.)

Photos by iPhone 11 Pro

朝風呂を済ませ、お宿の目の前の神社に参拝。朝食を取った後、宿の車で飛騨小坂へ。せっかくなので高山で足を延ばすことに。高山は10代の終わり、初めての一人旅で訪れた懐かしい場所。それからときは経ち、五、六年前に家族旅行で立ち寄った。そのとき、私の記憶にある高山はどこへ!?と言った状況に大いにがっかりした。そう、イタリアはシチリアのタオルミーナを再訪した時と同じ様な状況に陥ったのだ。さて、今回はどうなる。

のんびりと列車に揺られ高山駅着。洒落たきれいな駅だ。かなり冷え込むがお天気は上々。人混みを避け「高山城跡」を目指す。これが大正解。「熊に注意」立て看には驚いたが、紅葉も見事で山の匂い、空気もすばらしい。大いに堪能して街中へ。私が泊まった宿(旅籠)はどこだったか。当時ウィスキーか何かのコマーシャルに使われた宿に泊まりたいと予約していざ出かけたら、何か手違いがあって他の旅籠に泊まることになった。でもそちらの宿も雰囲気があって大いに満足した。あの思い出の街並みにはもう二度と出会えないのだろうか。40年も経てば仕方のないことかもしれないけれど、さすがにこれはないのでは、とやはり失望を禁じ得ない。その分「高山城跡」の散歩が輝きを増す。

いろいろと思いを巡らしながらまずは腹ごしらえ。本日もお蕎麦屋さん。またも蕎麦味噌で昼酒。お勧めの山菜蕎麦でお腹を満たし、美味しいコーヒーを求めて近所を徘徊。小洒落た今風のカフェではなく、昔からやっている喫茶店を探す。程なくして良さそうなお店が見事に現れる。しかも「禁煙」。昔ながらの喫茶店は喫煙可も多く断念することも度々ですが、こちらは「禁煙」。即断して1951年創業の「Coffee Don」の扉を押す。白いカヴァーのかかった椅子に歴史を感じる。カウンターの中には2代目のご店主。相客はなんと青年時代に高山に住んでいて40年振りに訪れたと言う男性。私が最初に高山を旅したときに住んでいらっしゃった、ということになる。なんとも奇遇。マスターに会えるかとお店に立ち寄ったそうです。当時のマスター、現店主のお父上は数年前に他界されていて残念ながら再会は叶わず。でも娘さんとあれこれと昔のお話しに花が咲き、それを横で楽しく拝聴する。街の変貌振りにはやはり皆さまご意見をお持ちの様です。特に地元の方のお話には、なるほど、ふむふむ、と驚くやら、呆れるやら。本当の飛騨牛を買うならあのお店、といった貴重なご意見も飛び出し、次に高山を訪れるときは、まずこちらへお寄りして情報を仕入れようと思った次第(笑)コーヒーも、皮から手作りのシュークリームもまことに美味。まだ固まっていなくて食べられなかったチーズケーキを、次はいただこう。

高山陣屋へも立ち寄って、駅へ向かう。足かけ16年の歳月と約20億円をかけて修復・復元したという高山陣屋。かけた歳月と金額は伊達じゃない、と思える場所でした。

がっかりだけの2度目の訪問から今回はぐぐっと印象が盛り返された高山。やはり「歩く」というのが楽しい旅の必須条件。そして「Coffee Don」でのお出会いの様に、人とのご縁が旅をさらに愉しく。来て、よかった。