台湾茶道に酔いしれる (2014.02.23 Sun.)

ギャラリーYDSさんで開催されている「志村睦彦 宮岡麻衣子 二人展」の特別企画、台湾茶道のお茶会へ参加。ご亭主は台湾茶道の先生、Peruさん。参加者6名が二手に分かれてお茶席へ。私たちのグループは点心から。まずお弟子さんの手による、ウェルカムティーをいただく。お茶の名前は難しくて覚えられなかったけれど、茶葉を直接器に入れてお湯を注ぐ淹れ方で。まず最初に、使用される茶葉が回り、色・香り・姿を楽しむ。次にお湯が注がれたお茶をいただく。器の中で開いた茶葉は菊の花のよう。きれい。美味しいお茶でほっと一息ついて、お点心。お茶会の主題がお膳に広がる。まさに春が再びめぐって来た。

点心の後は、再びお茶をいただく。同じように茶葉を鑑賞した後、今度は急須も回るので、蓋を取り、お湯で湿り眠りから覚めつつある茶葉を鑑賞し香りを聞く。一煎、二煎、三煎と味わう。スモーキーで堅く閉じた味わいから(それでも十分美味しいのですが)徐々に花のようなふくよかな味と香りに。杯を重ねる内にだんだんと心地よくなってきた。リラックスと覚醒。相反するものが調和する不思議な感覚。

そしてお茶席へ。Peruさんが最初におっしゃった「私たちに身をゆだねてください。」という言葉を胸に。こちらでは古樹茶と呼ばれる普耳茶が供された。古樹茶と呼べるのは樹齢三百年以上の樹から採れるものだけだそうだ。白湯をいただき、続いて最初のお茶を(手順は点心席と同じ)。確か1990年に作られたお茶。まさに大地の味と香り。落ち葉を踏みしめて森に分け入ったかのよう。次にいただいたのは年は失念してしまったが、もっと若い普耳茶でさわやかなもの。梅の香りとミネラルを感じる。最後にまたお白湯をいただいて終了。台湾茶道は飲み方に特に作法はないけれど目をつむって飲むのがお勧めとPeruさん。目をつむると余計なことを考えずにお茶に向き合えると。そうすると確かに風景が見えるように思う。その風景こそがお茶の樹が育った場所なのだそうだ。お白湯もたいそう美味しい。それもそのはずギャラリーがあるのは友禅染の工房。その水元の井戸水なのだから。

点心の席でいただいたお茶で得た感覚がお茶室でさらに深まって行く。リラックスと覚醒と。なんとも心地いい。ご一緒になった方がおっしゃった。「胸が開いたような心持ち」と。まさにそうだ。ご亭主Peruさんの、長くて深い呼吸。まるで気功のような所作。その所作を見ていたらこちらの呼吸までいつもより深く長く、お茶の効能と相まってまさに胸が大きく開かれる思い。

お道具はPeruさんのお持ちの古いものと、志村さんの器がうまく調和している。途中でいただいた本日のお菓子は聚光さんの特別誂え。白いお菓子を切ると中から若草が萌え出ずる。こちらにもお茶席の主題「大地春回」。

お茶席を出るとお風呂から上がったような気持ちよさ。Peruさんの台湾茶道、深い。すっかり魅了されました。ご本人にも!