● プログラマー独り言 WWDC2004参加レポート(2004/08/10)


今年もサンフランシスコで開催されたWWDC(World Wide Developers Conference)でしたが、会期が7月に入るというのは初めての経験でした。昨年の会期は6月中旬で、最初の2日ぐらいは涼しかったのですが、残りの日々は猛暑。その経験から推測して今年も暑いのだろうと夏服しか用意していなかったのですが、これが大外れ!毎日が涼しいというより寒いのです。早朝などは、コートやダウンジャケットを着込んで通勤する人が目立ち、とても夏一歩手前とは思えません(どうやらSFとしては昨年が異常で今年が正常だった模様)。なのに、セッション会場の冷房は効き過ぎていて(毎年のこと)皮下脂肪の少ない筆者にはトテモつらい!そこで、セッション中は、ほんのりと暖かいPowerBook G4を膝の上にのせ、懐炉のかわりとして重宝しておりました(笑)。今年は、すぐ横の会場で「Java One」も開催されていましたので、ダウンタウンの中心部は黒い鞄(Java One組ももらえた)を持った「その筋の人々」であふれかえっておりました(両方に参加していた人もいたとかいないとか...)。

毎年恒例の「WWDCに参加しているデベロッパーがどんな機種のモバイルマシンを所有しているのか?」という調査ですが。今回は15インチのアルミPowerBook G4が圧倒的に多数でした。続いて17インチと12インチのアルミPowerBook G4が多く、この3種類だけで全体の80%以上は占めていたのではないでしょうか?アルミPowerBook G4も既に3世代目となりましたので、さすがに15インチのチタンPowerBook G4は少数派になりました。ついにG4化されたのですが、14インチを含め、iBookを持っている人は昨年同様にわずかでした(デベロッパーの見栄なのか?)。絶滅していると予想された黒色筐体のPowerBook G3とシェルタイプのiBookですが、どっこいしぶとく生き残っており、Mac OS Xマシンとして活躍しておりました(限りなく少ないですが...)。さて、来年のWWDCでは、この構成にPowerBook G5が加わっているのでしょうか?期待したいところです。

アップル社の発表によると、WWDC2004には日本から300名近い方が参加されたようです。全体の参加者数も昨年と比べて17%増えていたそうです。昨年よりセッション数が増えたために、日本語同時通訳が入らないセッションもいくつかありました。QuickTimeコンテンツ、エンタープライズ、インターネット&ウエブなど、開発関連以外のトピックスを紹介するセッションでは、外部からのスピーカーが多数招待されており、「実体験」にもとづいた説得力のある話を聞くことができました。セッション終了時のQ&Aで発言する人には大学関係者も多く、昨年感じた「WWDC参加者の職業分野が広がってきている」という思いは、よりいっそう強くなったわけです。「WWDC=デベロッパーのイベント」から、「WWDC=Macintoshコミュニティのイベント」への変貌がより鮮明になりつつあるのは確かなようです。Jobsの基調講演でも必ず新製品発表がされるようになったので、ついでにMACWORLDクラスの大規模な展覧会も併設したらどうでしょうか(笑)。

さて主役のTigerですが、追加された新機能の内容については、アップル社のTigerサイトを参照するのが近道です。このサイトを読めば、Jobsの基調講演で発表された内容をほとんどカバーすることができます。

http://www.apple.co.jp/macosx/tiger/index.html

昨年のPanther(Mac OS X 10.3)の発表の時には「10.2から随分変わったなぁ!」と感激したのですが、今回はそういった思いは正直少なかったですね。まあ、それだけMac OS Xも成熟したと言うことでしょうか?加えて内部的な改良はデモなどでは紹介不可能なわけですし...。新機能の中でも一番力を入れて説明されていたのが「Spotlight検索」です。つまり、大量に蓄えられたファイルから自分の欲しいファイルをより効率的に見つけ出す方法が大幅に改善されたわけです。しかし、ファイルをちゃんと整理して保存しておく癖がついている筆者(旧タイプMacintosh使い)としては、ファイル検索より、Finder自身の機能アップが皆無だったのが残念でした。つまり、Finderの機能を使い(検索機能ではなく)必要なファイルをピックアップするという従来の手法についても、継続した機能強化が欲しいわけです。これからは、ファイルは何でもかんでもすべて「書類」フォルダに入れておき、欲しい時には「Spotlight検索」で見つけ出すというスタイルが普通になるのでしょうかねぇ?

Jobsの基調講演の中で断然拍手が大きかったのは「iChat AV」の4面ビデオチャット画面を表示した時でした。その逆に、一番反応が鈍かった(と言うより何をしているのかよく分からなかった)のは「Safari RSS」でした(笑)。しかし、「iChat AV」「Safari RSS」「Automator」などは、Tigerを待たずとも、現状のPantherでも動きそうな気もします。事実、デベロッパーからもすぐに実装しろという声が上がっておりました。まあ、こうしたアプリケーションもTigerに実装される予定の新しいFrameworkなどを利用しているでしょうから、あまり無理を言ってもいけません。Tigerまで待つしかなさそうです。基調講演ではデモされなかった「VoixeOver」ですが、これが英語にのみ対応と言うのはちょっと?です。実際に、同じような機能を有するソフトも存在しているわけで、これを日本語や別の言語に対応させることは、そんなに困難ではないと思うのですが(やる気がない?)。

続いて新しい開発ツールについてです。Apple社はTigerに「Xcode 2.0」をバンドルすると発表しました。Xcode 2.0では、モデリング&デザイン機能の追加、技術資料の検索やリモートデバッグ機能の強化、gcc 3.5の採用、64bitメモリーアドレッシングが可能なアプリケーションの開発など、いくつかの新機能が追加されています。gcc 3.5では待望のAltivec(Velocity Engine)Auto-vectorizationも採用される予定です。Tigerのプレビューサイトには「PowerPC G4およびG5プロセッサが持つVelocity Engineのパワーを、ベクトル化のためのコードを1行も書くことなく引き出すことができます」などと記載されていますが、大きな期待は禁物です(笑)。関連セッションを聞いたところでは、それほどスゴクはありません。とりあえず、そうした方向へ一歩踏み出したとポジティブにとらえておくことにしましょう。

今年のWWDCのマイブームはズバリ「OpenGL」でした。Tigerで新しく導入されるCore ImageやCore Video、それからQuartz 2D、Quartz Extreme、Quartz Composer、加えてQuickTimeなど、すべてOpenGLの能力(というよりGPUの絶大な能力)を生かすことで高速2D表示を実現しています。つまり、あらゆる描画システムの下層にOpenGLレイアが存在することになるわけです。こうした理由から、これからはOpenGLの技術動向がより重要視されるかもしれません?また、2D表示だけでなく、3D表示に関してもいくつかの興味深いセッションを聞くことができ大変満足でした。それにしても、今年もInterface Builderに関してのセッションがほとんどなかったのは残念でした(たったひとつだけ)。世界中のデベロッパーの方々は、文字列、アイコン、カーソル、イメージ、パタン、ToolBarのようなユーザインターフェースオブジェクトが、Interface Builderで直接編集できないのに不満はないのでしょうか?私は大いに不満があります(涙)。

今回のWWDCの大きな特徴は、各セッションで解説された技術内容やサンプルソースコードが逐次ADCメンバーサイトにアップロードされたことです(WWDC参加者のみダウンロード可能)。まあ、昔もいくらかのアップロードはありましたが、今回は質、量ともに非常に充実しており、その項目数は70を超えています。「WWDC技術資料の即時アップロード」が、Apple社内の約束事として根回しされた結果でしょう。こうしたアフターケアーの充実を含め、今回のセッションの質と量が、次回のWWDCにも引き継がれることを望みたいと思います(できれば食事をもう少し美味しくしてほしいが...)。また、今回は参加を見合わせたデベロッパーの方々も、WWDCが大きな価値のあるイベントに成長したことは間違いありませんので、次回はぜひ参加できるよう努力してみてはいかがでしょうか。

Tiger正式版の登場は来年上半期ということですが、WWDC2005開催の時点でまだ出荷されていないという事態に陥らないよう、Apple社には気合いを入れてがんばってもらいたいと思います。


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