持田真理子さんを友人を通して知ったのはつい最近のことである。一ヶ月前飯田橋の印刷屋街にあるビルの工房を尋ねた。ビルといい、工房といい、私が昔住んでいたニューヨーク・ソーホーの倉庫街のロフト・スタジオの雰囲気によく似ていた。普通女一人では住めない場所だが、真理子さんはアメリカに住んだことがあるので平気なのだ。風貌も小柄だがたくましく、はじめて見るステンドグラスもダイナミックでパワーがあった。
日本ではステンドグラスのアーティストはまだまだ少ないようである。手工芸としては女性たちの間では人気があるが、アメリカのようにパワーのある作家は、恐らく持田真理子さんがはじめてだろう。彼女は一貫して花を主題にした造形を追求している。フラワーデザイナーでもある経験が大きく作用しているが、鉄とガラスでつくられた彼女の花はますます巨大になり、有機性と無機性とを兼持った独特な造形物になっている。素材としてのこの世の中で一番美しいガラスを使い、モチーフとしてのこの世の中で一番ポピュラーな花を選んだことは、ある意味では最も危険な選択であろう。あえてそれに挑戦した真理子さんの意図は花の生命力を構成物そして創造の生命力にメタモルフォーゼすることにあるような気がする。
今回の展示は草月会館ロビーという、独特で難しい空間の中で、いかに彼女のステンドグラスの花が場所を得るかという難しい課題に挑戦するものだ。何が出てくるか、まだ誰も見ていない。とても楽しみである。人々をあっと言わせるに違いない。
持田真理子ステンドグラス展 "花と 光と 風" は1994年9月14日から19日まで
赤坂・草月会館「草月プラザ」で行われた