2003年9月19日(金) 雨のち曇りのち晴れ

めずらしく明け方までだいぶ雨が降った。今日はSt. Stefano di Cerastiaという陶器の町へ行くつもり。列車を調べるとローカルで30分ほど。列車の時間まで間があるので、ぶらぶらしていたら山へ登りたくなって来た(何とかは高い所が好き!・笑)。チェファルには岩山があり頂上にはディアナ神殿(Tempio di Diana)がある。思ったより登りやすい。丁度半分ほど登っただろうか。すばらしい眺め。レンガ色の町並みの向こうには真っ青な海。イタリアの中世の街を上から見下ろすのは、何とも言えず魅力的だ。YさんとSちゃんも私の高い所好きを理解してくれたみたい(笑)。景色を楽しんでいたら陽射しがかなり強烈になってきた。あと半分、頂上までは登らず街に降りて昼食。友人のメモにあったRistrante Vecchia Marinaのテラスで食べる。メモにあった通り眺めがとても良い。皆で、マグロのボッタルガ・魚介のマリネ・イカ墨のパスタ・イワシの手打ちマカロニ・ボンゴレを注文。どれも美味しい。特にイカ墨・手打マカロニ・マグロのボッタルガが大人気。大勢でわいわい言いながら食べる料理のなんと美味しくて楽しいこと。あぁ、至福とはこのことなり...

午後はそれぞれ気ままに過ごす。私は昨日見つけたエノテカBacco On Lineでお土産用の赤ワインを€ 40で購入。ここのお兄さんはワインにとても詳しい。そして何より愛がある!やっぱり愛がなくちゃね。東京で買えないもの、普段あまり口に出来ない赤を買おうと、あれこれお兄さんに説明して選んでもらう。結果、Messinaの小さなワイナリーが作っているものに決定。シチリアの幾つかの品種の混醸。三ヶ月ほど休ませてから飲んでね、とお兄さん。ワインは旅をすると疲れちゃうのです。飲んだら感想を聞かせてね、と言われてしまう。メールするねと約束したから守らなくちゃ。今そのワインは家のワインセラーで静かに休んでいます。

夕食はホテルのテラスで。今夜もSちゃんと私は着物。どうやらホテルのカメリエーレはSちゃんがお気に入りのよう。髪形もお化粧も着ているものもとても個性的だね、だって。直接彼女に言ってよ、私じゃなくて(笑)。頼んだものは、オムレツ(これがなかなか!)・プロシュートメロン・魚介のリゾット・ファンファーレ(Fanfare)と地元で呼ばれる白身魚の塩焼き・“名前は忘れてしまった”魚のリヴォルノ風煮込み、など。ワインはすぐ近くで造られている白ワイン。最後にホテルからデザートワインのサービスあり。着物マジックかはたまたSちゃんマジックか。とにかくカッフェ(お水が塩辛いせい?)以外はとても美味しくて全員一緒の最後の晩餐も大満足でした。


2003年9月20日(土) 晴

みんな揃ってパレルモまで列車に乗る。結構混んでいてコンパートメントは分かれてしまった。一緒になった年配のご夫婦は結婚50周年でヴァチカンに行った帰りだそうで、指には歴史が刻まれた25周年と50周年の二つの指輪。列車の旅はこういう出会いも楽しい。でもずぅ〜っと、隣のお喋りを聞く羽目になる場合もある。なんたってイタリア人はお喋り好き。喋ってないと死んでしまうのでは?と思うくらい(笑)。このご夫婦は物静かな方達でした。

パレルモの駅で明日東京に戻るSちゃんとはお別れ。タクシー乗り場で見送る。さみしいなぁ。気を取り直し、Yさんと私たちはプルマンに乗り換え一路トラーパニへ。アフリカに一番近いイタリアはどんなところなんだろう。わくわくそしてお腹がぐうぐう言ってる間に無事トラーパニへ到着。とにかくお腹が空いたのでホテルにチェックインし荷物を置いたら昼食。フロントのおじさんに近くて美味しいお店を聞き、足早に向かう。海沿いの通りに面したそのお店はTaverna Paradiso。土曜日、しかも時間が遅いせいか私たちの他には一組しかいない。メニューには大好きなウニがあったけれど、カメリエーレに聞くとないとの返事。がっかり。今年は収穫量が少なかったと耳にしたのは本当だったのかなぁ。その代わり、もう一つのお目当てクスクスの魚介スープを堪能。これは美味しい!やみつきになりそうです。

お腹がいっぱいになったところで、街を散策。乾いた空気に強い陽射し、アフリカが近いというのを感じさせてくれる。それにしてもがらんとして人気がない。週末だからなのか... 地図を見るとすぐそこに塩田(Saline)が広がっている。ここまで来たら塩田を見なくちゃ!強い陽射しを遮るものが何もないなか、てくてくと歩く。そしてさらにてくてくと。おかしいなぁ、地図ではとっくに塩田のはずなのに。見当をつけた道からそれて少し行ってみると遠くに風車が見える。目を凝らすと塩の山も見える。だいぶ縮小されちゃったのかなぁ。納得がいかないまま、街へ戻る。街も夕方からはだいぶ賑やかになる。夜はYさんと持参したガイドブックに載っていたCantina Sicilianaへ。名前はかって一杯飲み屋だったことに由来するそうだ。場所をフロントのおじさんに尋ねたら、友人がやっていると言って名刺をくれた。赤エビのマリネが美味しかったのと、オーナーがシチリアの操り人形を操ってくれたのが印象的。


2003年9月21日(日) 晴

エーリチェ(Erice)へ足を延ばす。高いところにこぢんまりと中世の佇まいそのままのエーリチェ。石畳がてもすてきだ。トラーパニの街も一望できる。昨日辿り着けなかった塩田もその広さが確認できた。以前よりは縮小されたと言ってもかなりの広さがある。とりあえずそれが分かっただけでも良しとしよう。辿り着けなかったけど...

小さな町なのに、観光客が大勢でお店もどこも混み合っている。目星をつけたリストランテも予約でいっぱいだった。ちょっと感じが悪かったので、それほど残念にも思わずカフェテリアで簡単に済ませる。生ビールがあったのでそれだけでしあわせ。そしてアランチーノやパニーノ、カポナータもなかなかで、こういう食事も楽しいものです。

Yさんはこの後東京に戻るので、お土産を買わなくちゃ、とちょっと悲壮感を漂わせていた(笑)。良さそうなお菓子のお店があったので試しに買って食べてみる。甘さしっかりだけど丁寧に作られていて美味しい。ここのお菓子を買う事に決定。これには後日談があってわざわざエーリチェから大事に抱えて持って帰ったこのお菓子が、会社の人には不評だったらしい。イタリアの味に慣れてないと美味しくないのかなぁ。他には陶器、Bazar del Mieleでハチミツ・ピスタチオ(シチリア名産の一つなのだ)などを買う。果たして持ちきれるのか!? ピスタチオは私も買ったけれど、これがまことに美味しく例の如く「もっと買えばよかった」の後悔。

夜はひょんなことからドイツ人の二人連れと一緒に食事をすることに。一人はチュニジア在住の女性。もう一人はその女性の友人でドイツから。二人でイタリアをまわり、フェリーで明朝チュニジアに渡るらしい。全員がわかる言葉が英語だったので、ドイツ語訛りやイタリア語交じりの英語で楽しく会話。サッカーの話が出たときにチュニジア在住の女性がとたんに不機嫌に。ご主人がサッカー狂らしい。たぶん家庭を顧みないサッカーフリークなのだろう。サッカーには罪は無いのにね(笑) もうひとつ面白かったのは、日本の家はとても小さいからきっと私たちには日本旅行は無理よ、と言い張る事。世界的に「兎小屋」と言う言葉が有名になったけれど、地方に行けば大きな家もいっぱいあること(東京にだってあるけどね)。イタリアだってホテルの部屋は決して大きくない。むしろ小さい方が多いしベッドだって基本的にコンパクトだ。それに比べれば日本のホテルは米国式だから大きい、ベッドも広い、と説明する。でも納得いかない様子。これがドイツ人気質なのかしら(笑)。皆でアドレスを交換してわかれる。次はトラーパニからチュニジアに行くのも悪くないね。+続く+


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