2003年9月22日(月) 晴

バールで朝食を済ませ、真っ先にPescheria(魚の青空市場)へ。持ち帰る加工品を入手するのが目的。ホテルのおじさんに予めお勧めをメモしてもらい、それを片手に急ぎ足。水揚げされたばかりの魚を売る屋台、新鮮な野菜の屋台、そして加工品。加工品は二ヶ所で売られていて扱っている品物はほとんど同じ。ざっと見回して品物が良さそうな息子さんと親父さんの二人でやっている方へ。●Salsiccia di Tonno 1本 ●Capperi di Pantelleria 200g ●Pomodorini Secchi 200g ●Bottarga di Tonno (primo scelta) 430g、 価格は100gのオレガノがおまけについて€38。 すべて味見をさせてもらえるのが嬉しい。買い物後はTorre di Ligni(リニーの塔)へ。ここがイタリアのいちばん西なんだ。ぐるっと絶景のパノラマ。あっちに見えるはアフリカ!?と喜ぶが、どうやら違ったらしい。空気が澄む冬には見えることもあるようだ。お昼近くにホテルに戻り、友人のYさんとはここでお別れ。彼女はこれからパレルモへ行き、翌日には機上の人に。さみしいけれど、また東京で会えるのを楽しみに、私たちの旅はまだまだ続くのである。

トラーパニでのもう一つの目的は、今年3月に参加した「シチリア食材WORKSHOP」(ニッポン東京スローフード協会主催)で知り合ったトラーパニの市役所の方と再会すること。無事に連絡が取れてお昼をご一緒することに。向かったのは最初にお昼を食べたTaverna di Paradiso。どうやらここが街一番のお店のようだ。平日の今日は大勢の人で賑わっている。さすがに地元民と一緒だとお店の気合いも違う。誤解がないように書くが、私たちだけで行った時も感じが悪かったわけではない。とても良いサービスだった。しかしイタリアは常連、もしくは知り合いということがとても重要な要素なのである。アンティパストはお店のお任せ。パスタはウニ。ないと諦めていたのに、今日はあった!平日だからなのか、市役所のシニョールが一緒だったからなのか。お任せの前菜は、まず生ガキ、次に盛り合わせ。メニューにある前菜のすべてが一皿に載っているんじゃないかと言うくらい美味しそうなものがたくさん!中でもフリット ディ ネオナートというシラスと魚の卵で作られた、見た目は薩摩揚げみたいなものが、めちゃくちゃ美味しかった。いやはや本当に涙が出そうなくらい... ワインはシニョールが選んだ地元の白、インソリア。市長の奥さんが経営しているカンティーナのものだそうだ。そしてなんと興味があれば明日案内すると嬉しいお言葉。お昼の後は車で塩田などを案内していただく。やはり私たちが歩いた道は正しかったのだ。諦めずに歩いて行けば塩田に辿り着いたのだ。でもちょっと遠いね、徒歩じゃ。塩田で塩を作っている会社のひとつも尋ねる。敷地内には風車もあり、それがどんな仕組みでどんな役割を担っているか見られるようになっている。そしてそのオフィスはとても素敵。オーナーはいかにもお金持ちと言った雰囲気(笑)それもそのはず、塩の会社以外にホテルを何軒も経営しているそうで、トラーパニの四つ星ホテルはすべてこちらのオーナーの経営らしい。普通には見学できないようなので、シニョールに感謝。その後、明日の時間を約束して別れる。

心もお腹も大満足で今日はもう何も食べられません、と言う訳で、夕食はパス(笑)。


2003年9月23日(火) 晴

シニョールとの約束が午後5時に変更になったので、チェファルで教えてもらったSam Vito lo Capoへ足を延ばす。話に聞いていた通りクスクスのお祭りが今日から始まるらしい。シチリア一と言う海は本当にきれい。町は明るく開放的なリゾート地といったおもむき。夏はさぞ賑わうのでしょう。肝心のお祭りの模様はこちらで。

トラーパニに戻り約束した時間よりちょっと遅く(これがイタリア時間・笑)にシニョールがホテルまで迎えに来てくれ、カンティーナ・ファッツィオへ。シニョーラが出迎えてくれ、スタッフのフランチェスカ嬢が案内してくれる。イタリア語での説明を必死で聞きながら(笑)白ワイン・赤ワインの作られる工程をくまなく見学。フラスコやビーカーが並ぶラボ室にも入れてもらう。なんだか化学の実験みたい。帰りにはなんとお土産にワインを4本も頂戴してしまった。感激です。こちらのワインは日本にも入っている。インポーターの一つに紀伊国屋の名前があったので、青山のお店に並んでいるのかも。エチケットを日本に出しているものはオリジナルと替えているのですが、私はエーリチェの町の石畳がデザインされているオリジナルの方が好き。これがちょっと残念。

夕食はシニョールが帰り際に教えてくれたお店Nuova Trattoria Fontanaでと向かうも定休日。という訳で三度Taverna di Paradisoへ。昨日のことがあるので、すっかり常連扱い。地元コネクションの力はやはり強い。今夜は、アラゴスタのパスタ、魚介のリゾット、付け合わせに野菜のグリルなどをいただく。例のフリットをもう一度食べるのもしっかり忘れず!ドルチェの、グラニタのようにお酒の効いたものもとても美味しい。お店の方のオススメの白ワインを傾けながらトラーパニの最後の夜も更けていく...


2003年9月24日(水) 晴 夕方少し雨

12時10分のバスに乗りパレルモへ。国鉄の駅からタクシーに乗りホテルへ。パレルモではちょっと奮発して四つ星のホテルPrincipe di Villafrancaにしてみた。駅からは少し離れているが、静かな住宅街の中にあり落ち着いて過ごせそう。古いものを利用したフロントの雰囲気もいいしスタッフの対応もとても良い。通された部屋も洗面所などのユーティリティが広く取られていて快適。

広場まで出て、バールで遅いお昼。その後シチリア州考古学博物館Museo Archeologico Regionaleへ。16世紀の修道院を利用していてなかなか趣がある。中庭の雰囲気もいい感じ。セリヌンテの神殿遺跡の彫刻Sculture dei Templo Selinuntiniの展示が特に素晴らしかった。メデューサってバリ島の仮面劇に出てきてもおかしくない風貌だね。

夜はフロントお姉さんにホテル近くのお店を教えてもらい、そこへ。クラシカルな雰囲気のお店。料理も重たいのかな?と心配になるが、さすがに魚介がメインの街。日本人の舌にも馴染む味。カッフェ(エスプレッソ)をドッピオでオーダーしたら、こんな大きなカップで。パレルモの初日も楽しく終了。

2003年9月25日(木) 晴

一日街をぶらぶらする。ローマを小さくしたような印象。想像していたより過ごしやすく、人々も親切。

CapoとVucciria、二つの市場をのぞく。ウッチリアはパレルモに現存する最古のもの。カポの方が明るい雰囲気。市場=メルカートは大好きな場所。市場を訪ねればそこに暮らす人々の食生活が垣間見られとても面白い。さすがシチリア、メカジキやマグロの大魚が並ぶ。赤エビや白エビも美味しそう。目で楽しんだ後はウッチリア市場近くの食堂へ。イカ墨のパスタ、トマトソースのパスタ、ビール大瓶、ミネラルウォーターでなんと€10。パレルモ名物脾臓のパニーニ、屋台が出ていたけれどちょっと手が出ませんでした。まだまだ修業が足りません。

お腹もいっぱいになったところでマッシモ劇場のツアーへ参加して、内部を見学。1987年にヴェルディのオペラ「ファルスタッフ」で幕を開け、当時はパリのオペラ座に次いでヨーロッパでは2番目の規模を誇ったようだ。長年の修復を経て1997年から再び使用されている。オペラのシーズンでないのが非常に残念。ガイドブックには豪華なロイヤルボックスなどと書いてあるけれど、実際には細かいところは未修復と見た!

ホテルまであちこち寄り道しながら歩いていると、持参した本に出ていたワインバーの一つSotto Sopraを発見。NYにでもありそうなガラス張りの洒落た作り。今夜はここで決まり!パレルモではこう言うワインバーが増えているらしい。ワインをメインに美味しい物を少し食べたい私たちにはうってつけ。ポルチーニの前菜とボロネーゼのパッパルデッレをオーダー。ワインはお兄さんに選んでもう。「Penso io(私に任せて)!」と言うのが心強い。 そして持ってきてくれたのがトラーパニのシラー。とても良い。イタリアのシラーは日本ではあまりポピュラーではないけれど、美味しいと思う。パスタは本場ボローニャのものよりも軽く仕上がっているけれど、洗練された味で美味しい。フレッシュ・ポルチーニの一皿は、チーズがパルミジャーノだったらもっと美味しいのにと思うけれど、こちらも満足の一品。 シチリアはチーズと言えばペコリーノ。そしてペコリーノが美味しい季節は冬だそうです。と言う訳であまりチーズは多くはなく、例えばモッツァレッラを頼むと、フレッシュじゃないのが出てきたりする可能性あり。要注意です。隣のテーブルの人たちが食べていたシラスのパスタが気になりつつも大満足でお店を後にする。明日はメッシーナへ出発です。+続く+
More Photos