2004/10/10(日 domenica)くもり時々雨後晴 ■まずはフォアグラから■

10時26分ICにてパヴィーアPaviaへ。ホテルは駅からすぐ。チェックインを済ませてとにかく広場のバールへ。ビールとパニーノで軽くランチ。その後散策というすっかりお決まりのパターン。街は落ち着いた佇まい。道路などもとてもきれい。Duomo、Chiesa di S.Michele、Ponte Coperto、Universita、Castello Visconteを見る。

午後6時にホテルのロビーでイタリア語メイトのRちゃんと無事に合流。今年もランデブーは楽しいものになりそうな予感。一緒に街をぶらぶらしてから途中バールで食前酒にスプマンテを飲む。しっかりバールのお兄ちゃんたちにからかわれる私。いったい幾つだと思ってるんでしょうねぇ、私のこと(笑)そう言えば、スプマンテを昔ながらの細長いグラスか白ワイン用かどちらが好みか聞かれた。この辺りは白ワイン用で泡を飲む、というのがかなり普及しているみたい。一説によるとこの方が味わいが深く感じられるらしいけれど、泡の切れ味はなくなるような気がする。まぁ、好き好きだよね。

夕食の時間は午後8時。今回の旅のバイブルCibovagandoより選んだお店Il Cigno。楽しみであ〜る。しかし場所がわからない。あまりこう言うことはないんだけれどお店が見つからない。通りすがりの男性にまず質問。イタリアでたびたび起こること。知らないって言わずに適当な場所を教えること。次に年配の女性に尋ねる。近くにいた知り合いの家族に聞いてくれた。そうしたら運良く彼らが住む場所だった。一緒に行きましょうと言ってくれる。あぁ、良かった。ほとんどのイタリア人が親切であることは間違いない。でも知らないことは知らないって言ってもらった方が親切なこともあるのだ>イタリアの人よ!

お店は程よくエレガント。シェフとシニョーラのご夫婦も良い感じ。丸テーブルに案内されて席に着く。シェフのお勧めを聞きながら、オーダーを考える。とにかく今までのことがあるし(笑)あれこれ少しづつ食べたい。まずはこちらのスペシャリテ、フォアグラのアンティパストをオーダー。色々取り合わせてくれるらしい。お皿が運ばれてくると、ガチョウだけではなくてアヒルのフォアグラと二種類。それぞれに別のジャムが添えられている。ガチョウのフォアグラfois gras d'ocaには野生のリンゴmere servaticaと生姜zenzero、アヒルのフォアグラfois gras d'anatoraにはメロンmeloneとアーモンドmandorlaと言った具合。それぞれが絶妙なコンビネーション!そしてそれをクルミとハチミツが入ったパンに乗せて食べるのだ。うまいっ!!プリモは白トリュフのリゾット。白トリュフはもう一生分食べたなどと言っていたが簡単に前言撤回。これまたとても美味しい。セコンドは三人で一つ、ウズラにトリュフを詰めた物を頼もうと思ったら、こんなに小さいからとジェスチャーをしながら、絶対足りないとシェフ。そうかなぁ。少し不安を覚えながらもシェフのアドヴァイスにしたがってサルティンボッカのような一品をオーダー。出てきたウズラちゃんは詰め物でぱんぱんになっていて、シェフが言うようにかわいいサイズじゃやはりなかった(笑)でも今夜は強い味方がいるのだ。そうRちゃんは見事な健啖家。そりゃぁもう頼りになるのです。ドルチェは“ティラミスみたいなもの”をオーダー。どう説明を聞いてもティラミスみたいなんだけど、シェフは断固として違うと言う。そんなありきたりのものはここにはないと言いたげな様子が可笑しい。ぱくっと一口。やっぱりティラミスみたいなんだけど(笑)確かドルチェの名前はDolce d'Angelo、えっ、天使のドルチェと思ったらシェフの名前らしい。そうこのドルチェはシェフオリジナル。そしてここのシェフは料理の世界大会にイタリア代表として何度か出ているみたい。食事の後はそのときの写真を見せてもらいながら話に花が咲いて、ホテルに戻ったのは12時過ぎ。とにかく楽しい夜だった。温かいもてなしで、Paviaがすでに大好きになった。ワインは地元の赤とキャンティのハーフボトル。


2004/10/11(月 lunedi)くもり ■ダ・ヴィンチの広場へ■

昨夜リストランテでモルターラMortaraへ行くつもりだと話したらその代わりにヴィジェーヴァノVigevanoへ行くように勧められた。何でもここには世界で一番美しい広場Piazza Ducaleがあるとのこと。パヴィーアからはモルターラ経由でヴィジェーヴァノまで約1時間。なんと社内アナウンス付きの新型列車だった。それにしても今日は寒い。イタリアへ来てから一番の冷え込みだ。

確かにこれは美しい!後で調べたらこの広場はレオナルド・ダ・ヴィンチの設計だった。レオナルド、やはりあなたは天才だ。広場のバールで昼食。眺めがよさそうなお店を選んだが、なかなか美味しくてご機嫌になる。トマトと小エビのスパゲッティ、ピアディーナPiadina*のマルゲリータとキノコと生ハム、カラファの白ワイン。

パヴィーアに戻り、夜は橋を渡り川沿いのオステリアAntica Osteria del Previへ。この町は月曜定休のところが多くどきどきしながら歩く。小雨が少し落ちてきてとても寒い。“どうか開いていて!”と祈りながらお店を探す。目指す方向にひとつ灯が見えている。期待と不安半々で近づくとその灯はまさにオステリアの灯だった。よかったぁ。お店の中は暖かく心から安堵する。

サラミの盛り合わせと“チョウザメ”の前菜をオーダー。チョウザメは目の前の川にいるらしい。驚き!上手に調理されていてなかなかの美味。プリモは赤ラディッキョRadicchio RossoとスカモルツァScamorzaのリゾット。2人前を三人でシェア。ここのリゾットもとても美味しい。さすがにロンバルディアは米どころ。セコンドは豚肉のロースト一人分を三人でシェア。三皿に取り分けて出してくれた。豚肉もさることながら付け合わせのジャガイモがなんとも美味しい。ミックスサラダInsalata Mistaもちゃんと分けてくれる。とても親切だ。ワインはまず白ワインをカラファで、赤はMaurizio Zanella 97 Ca' del Bosco、カベルネ、メルローなどの混醸。価格は€52.00。大奮発。ワインを頼んだ辺りからお店の人がより親切になったように思う。気のせいか(笑) 青リンゴのソルベ、レモンのソルベ、私はドルチェの代わりにチーズ盛り合わせ。そしてカッフェ。カードの機会が故障していて現金での支払い。持ってて良かった! 最初に出てきたグリッシーニをRちゃんがいたく気に入り残りを持ち帰っていいかと尋ねたら、大きな袋を持たせてくれた。そして中に入っていたのはラディッキオと判明したのでした。

他のテーブルでは地元のおじさん達が賑やかに食事をしていてとても楽しそうだった。時折こちらを見てはにこっと笑う。先にお勘定を済ませて帰ろうとしてからわざわざ戻ってきてチャオと声を掛けてくれる。そんな何気ないことが旅ではとても嬉しくて楽しい。今夜も本当にすてきな夜だった。Rちゃんにとっては仕事の都合でとてもハードなスケジュール。パヴィーアにも2泊だけ。その2泊がどちらも本当に楽しいものでよかった。すべてのものに心から感謝をしながら眠りにつく。

Piada (小)Piadina*:ロマーニャ地方特産のピッツァの台のように丸く焼いた、無酵母の薄い生地。見た目はクレープのようです。


2004/10/12(火 sabato)くもり時々小雨後晴 ■修道院へ、ここでガチョウに遭遇■

バスでパヴィーアの町から8キロ離れた修道院Certosa di Paviaへ。バス乗り場でバス会社の人に確認してバスに乗る。なぜか高速へ。びゅんぶん飛ばす。あれれれれ。8キロなんてとっくに過ぎてるじゃん。変だよ。これはどこへ行くの?と思っていたらミラノの郊外まで連れて行かれる。幾つかあるルートの内、ミラノ直通のバスだった模様。気を取り直して、パヴィーア行きのバスを待つ。それほど待たなくてもバスが来た。今度はちゃんとドライバーに確認して乗り込む。そして無事目的地で降車。修道院まで真っすぐな道をとことこ歩く。修道院に着いたらちょうどお昼休みに入るところだった。仕方なくまずはお昼を食べる。あまり期待もせずに前にあるリストランテChalet Della Certosaに。メニューを見ると思いがけなくLardo di Arnad*がある。さらに食べたかったガチョウのお肉もアンティパストに並んでいる。迷わずオーダー。ラルドはコロンナータのものよりさらにさっぱりとした印象。とても美味しい。ガチョウのお肉はスモークされていた。こちらもさっぱりしていてなかなかいける。プリモはひよこ豆のスープと生ポルチーニを使ったパスタ。ポルチーニは状態のよいものが近くでとれるようで、たんまり使われていた。ヒヨコ豆のスープもこれまたたまらなく美味しい。ドルチェはカメリエーラいち押しのオレンジ風味のチョコレートケーキ。これも美味しかった。こんな風にあまり期待しないでふらっと入ったお店がとても美味しいと幸福度もうなぎ上り。

満足している内に午後の見学可能時間が迫る。しばらく扉の前で待つ。ほどなく開門。中に入り、庭を進み建物の中に。礼拝堂の並ぶ内部を進むと、鉄の門。ここで修道士のガイドを待ち居合わせた皆で見学。終わった時点で喜捨。自分なりにこの程度と思う金額を渡す。それにしてもここは美しい。中庭の美しさには特に息をのむ。手元のガイドブックにはガイド役の修道士と一緒に見学する場合と自由に見学できる場合とある、とあるが、自由に見学が可能かどうかは未確認。

夜は前を通りかかって気になっていたワインバーへ。サン・ミケーレ教会のすぐ脇にあり窓からは教会が見え雰囲気はとてもいい。ワインのラインナップも充実しているようだ。ただ、ワインリストがなくて好みを言うと何本かボトルを持ってきてくれ説明と値段を知らせてくれる、と言うシステム。お料理は創作料理で、正直なところう〜むという味。不味くはないけれど、これなら伝統的な料理の方が美味しいというのが正直な感想。創作って難しいよね。でも面白い経験でした。

今朝帰国フライトのRちゃんは無事朝起きられただろうか。また一緒に旅をしようね!

明日はこの旅最後の町、コモ湖へ。今更なぜコモ湖なのか!? 続きを待て(笑)+つづく


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