春水満四澤(2025.03.10 Mon.)

by 陶淵明本日足を伸ばした温泉宿で“春水満四澤”に出会った。お酒と菊を愛した陶淵明が詠んだ『四時歌』の第一句(起句)ということを知る。全文は下記の通り。

 春水満四澤 しゅんすいしたくにみつ
 夏雲多奇峰 かうんきほうおおし
 秋月揚明輝 しゅうげつめいきをあげ
 冬嶺秀孤松 とうれいこしょうにひいず

春夏秋冬、季節を感じ移ろいを愛で暮らしたいものである。

@京セラ美術館(2025.02.15 Sat.)

“コレクションルーム冬期 特集展示「世界が見惚れた京都のやきもの~明治の神業」関連プログラム 講演会「明治の京焼コレクターに聞く:美術品の見極め方」”へ。先日ギャラリートークへ伺った際、こちらのプログラムのご案内。なんですって!? 舞妓ちゃんによるお茶の接待付きですって!! 元々入っていた予定が中止になっていたことをこれ幸いと申し込んだ。少し早めに到着したら舞妓ちゃんとおかあさんの後ろ姿を拝むことができました。これまであまり目にすることも正直興味もさほどなかった明治の京焼が、展示を拝見した上で、本日コレクターのお話をお聞きして、ぐぐっと胸に迫ってきた。コレクターにはなろうと思うわないし、なれないし(笑)でも古いものは好きなので、「勉強すること」と以下三点しっかりと心に刻む。古九谷が伊万里、ということも知る。

・白を見る
・ブラックライトを買え
・買い手責任

コレクター、関和夫さんのお話は興味深くまた大きく頷けるものでした。机上論ではなく実地からのアプローチがそう思わせるのだろうか。展覧会に名を連ねる作家のお器でお薄一服のお心づくしにも、感銘を受けた。

本法寺(2024.11.09 Sat.)

本阿弥光悦の菩提寺で長谷川等伯ゆかりのお寺さん。11月1日より「令和6年秋季特別展」*開催中。そして本日は「茶湯江戸千家十一代襲名記念」の講演会が。特別展前期は『本阿弥光悦の書(手紙)』展。それにちなみ、瀬川日照貫首のお話に続き、立正大学 安中尚史先生の「本阿弥家と本法寺」書跡研究家 増田 孝先生の「光悦の書」を拝聴する。京都に居を移して十三年になるが、まだまだ知らないことや未訪問の場所が数多くある。講演会終了後は特別展を拝見。建物やお庭などもゆるりと楽しませていただいた。春には長谷川等伯の涅槃図(重文)が公開されている由。新聞のニュースで目にしながら一度もまた見たことがない。来春にはぜひ!

*後期『如心斎と川上不白』展 11月16日(土)~12月1日(日)
      

若州一滴文庫(2024.09.08 Sun.)

@一滴文庫

若狭和田ビーチ一度伺いたいと切望していた一滴文庫さんへ。「水上勉没後二十年フォーラム 水上勉と、一休」(主催:花園大学国際禅学研究所)に参加。車を持たない身にはアクセスのハードルが高く、これまで伺う機会を得られずにおりましたが、往復大学のバス利用という有難い内容で、一も二もなく参加を決意。水上勉先生は、勤め人時代にお声を電話越しに三度ほどお聞きしたことがある。自慢です(笑)当時勤めていた会社のアプリをお使いいただいていたご縁。一滴文庫さんは思っていたよりも大層立派な建物でとても素敵な場所でした。これだけの施設を私財を投じて生まれ故郷に設け、自ら運営されていたことに今更ながら感嘆する。1985年3月開館、2003年5月よりNPO法人一滴の里が運営を担う。フォーラムに先立ち、文庫内を見学。70を超える水上作品の装丁や挿絵を手掛けた渡辺淳氏の絵画展示。大いに魅せられる。水上勉先生の蔵書が約2万冊の図書室、図書はすべて読むことができるそうだ。そして図書室の奥には児童図書コーナー「ブンナの部屋」も。竹人形もまことに素晴らしく、次はぜひとも竹人形文楽を拝見したいと思う。そしてこれを機に水上作品を大いに読もうと心に決め、まずは新版「雁の寺」を買い求めた。日帰りでお戻りになる参加者が多い中、私はせっかくだからと一泊プラン。若狭和田ビーチの夕暮れが心に染み入る。

奈良国立博物館(2024.06.06 Thu.)

@奈良公園二人揃って出かけられるのは、どう考えてもこの日しかない。先約を変更してもらい奈良へ行く。6月9日(日)まで開催の「空海 KŪKAI―密教のルーツとマンダラ世界」を見に。行きたい行きたいと思っている内にずんずんと日が進み、会期終了間際に駆け込む、しかも先約を動かしてまで、という避けなくてはいけない行動になってしまった。大いに反省する。しかし、行ってよかった。一度きりではすべてを理解することは難しいけれど、大きな流れ、曼荼羅とは何ぞや、ということは掴めた。弟子(甥でもある智泉)を失った悲しみを綴った手紙には、心が打たれた。今だに多くの人々に敬愛されている空海、弘法大師。それがどうしてなのかも展示を通じて伝わってきた。一度は心が離れた高野山に、やはり行かなくては。