『長恨歌』(2024.03.02 Sat.)

“梨花の代わりに雨に濡れる枝垂れ桜”

手元の辞書を引くと“ 中国,唐代の長編叙事詩。白居易作。806年完成。唐の玄宗皇帝と楊貴妃の恋愛を描く。日本でも古くから愛誦(あいしよう)され,源氏物語を初め日本文学に大きな影響を与えた。”とあった。その中から取った「梨花一枝春」はお軸で拝見することがある。なんと詩は全部で120句。100句目に「梨花一枝春帯雨」(梨花一枝 春 雨を帯びる)という句が出てくるそうだ。この中から「梨花一枝春」を抜き出して、禅味を与えるというか、禅味を感じ取って一行ものにした、というか。実際のところは、勉強不足で私には分からないけれど、出典は白居易の『長恨歌』から。とだけは覚えておこう。

また中国では「梨花帯雨」(春雨を帯びる梨の花)という言葉を使って、美人が泣く様子を描く表現があるそうです。こちらも白居易の長恨歌より(中国国際放送局HP参照)

・白居易:[772〜846]中国,中唐の詩人。号は香山居士また酔吟先生,字は楽天。官吏の職にあったが,高級官僚の権力闘争にいや気がさし,晩年は詩と酒と琴を三友とする生活を送った。その詩は平易明快で,「長恨歌」「琵琶行」などは広く民衆に愛され,日本にも早くから伝わって,平安朝文学などに大きな影響を与えた。「秦中吟」「新楽府(しんがふ)」など,社会や政治の腐敗を批判した社会詩もある。詩文集「白氏文集」(スーパー大辞林より)

御香宮献茶祭(2023.04.15 Sat.)

一度伺ってみたいと思っていた御香宮のお献茶祭へ同門の友人と伺う。ご奉仕は表千家猶有斎宗匠。よい頃合いにウグイスの声。生憎の雨だと思っていたけれどこれは「御香水」では!? ありがたくよろこばねば。拝服席に副席二席。お茶もお菓子も美味しゅうございました。点心は持ち帰りの為、噂に聞いていた利き酒はなし。これが伺ってみたい大きなモチベーションだったのですが、残念ながら次回に持ち越し。その代わり、帰宅してから持ち帰った魚三楼さんのお点心と共にしっかりお酒を楽しみました(笑)

お席でいただいたお茶が美味しかったので、帰りがけ友人とお茶屋さんをお尋ねしてそれぞれ買い求める。私は拝服席でいただいた「翠香の昔」。お濃茶を薄茶でお出しいただいた。そういえば東京で習っていた先生はお薄もお濃茶を使っていらっしゃった。そんなことも懐かしく思い出した。

第73回 有馬大茶会(2022.11.03 Thu.)

ご縁あって3年ぶりに開催されたお茶会へ寄せていただいた。急に決まった予定ゆえ残念ながら日帰りなれど、たいへん有意義な一日となった。献茶式は表千家のご奉仕でしたが非公開で参列券のお取り扱いはなし。例年は点心席も設けられるようですが、本年はこちらもなし。念仏寺と瑞宝寺公園(野点席)の薄茶席二席のみという内容が、日帰りにはかえってありがたかった。瑞宝寺公園は初めて訪れましたが、なんとも気持ちのよい場所でした。そのうえ、紅葉がすでに見頃で見事!太閤様もお気に入りの場所だったとか。

お茶券に付随していたお買い物10%オフの権利をしっかり行使し、くつわさんで竹籠製品を買い求め帰宅。

徳川茶会(2022.10.10 Mon.)

初めて徳川美術館のお茶会に伺う。家を出るときは激しい雨脚。お茶会の途中から青空が広がり、雨に濡れた樹々と木漏れ日が美しい。がんばって早く起き、予定より早い新幹線に乗り10時前に美術館に到着できたものの、すでにかなりのお人がいらっしゃっているご様子で、11時55分の薄茶席からのスタートとなった。初めてでツレもなく勝手がわからずどきまぎしていたら、お稽古でご一緒の方が数名同じグループに。安堵。点心のお席が始まるまでまずは展示を見る。見応えがあり、後半はお茶席の後にすることにしてお点心。とても美味しゅうございました!その後、薄茶席、濃茶席と周り、最後に展覧席を拝見して、展示へ戻る。刀剣も数多く出ていたので「刀剣女子」もたくさんいらっしゃっていました。皆様熱心にご覧になっている。私は正直刀剣にはあまり興味が持てないので、袋だけ拝見してささっと通り過ぎる(笑)それにしても幾多のお宝に触れ、美味しいお茶とお菓子、点心をいただいて「スポーツの日」が素晴らしい「芸術の日」となった秋日。車中のコーヒーも秋でした。
以下、会記から転載(ただし表記スタイルには変更あり)

徳川茶会 主催 徳川美術館 表千家 名古屋長生会 

・寄付 山ノ茶屋
 床 茶道行儀書 通円筆

・本席 餘芳軒
 床 竺仙梵僊墨蹟 示照侍者法語  
     伝来 七代将軍徳川家継ー尾張家六代徳川綱友
 
  床脇 楓に鳳凰蒔絵 硯箱
  花入 青磁 鳳凰耳
  香合 堆朱 許由
  香木 伽羅 銘 東大寺 十種名香の内
  釜  雲龍
  風炉 唐銅
  長板 真塗
  水指 砂張 鉄鉢                   岡谷家寄贈
  茶入 利休大棗 盛阿弥在銘 表千家六代覚々斎箱書   岡谷家寄贈
   仕覆 格子堅縞間道
  茶杓 千利休作 虫食 共筒 
       伝来 尾張家二代徳川光友
  茶碗 大名物 三嶋桶 
       伝来 千利休ー千道安ー松花堂昭乗ー尾張家初代徳川義直
   副 井戸
  建水 唐銅 銀象嵌
  蓋置 宣徳銅 三ツ人形
  御茶 蓬左の昔                     松柏園詰
  菓子 銘 鶴聲                   両口屋是清製
   器 銘々皿                     幸兵衛窯製

・副席 山ノ茶屋
 床 尾張家二代徳川光友筆 遠浦帰帆図         小坂井家伝来

  花入 伊賀 耳付                   岡谷家寄贈
  香合 独楽 朱塗
  釜  繰口 葵紋 古浄味作
  風炉 古銅 遊鐶
  水指 備前 火襷                   岡谷家寄贈
  茶器 秋野蒔絵 中次
  茶杓 一尾伊織作 共筒
  茶碗 黒織部 沓
   替 元贇焼 染付 文字文            木村克彦氏寄贈
  建水 塗曲
  蓋置 竹
  御茶 初音                       松柏園詰
  菓子                           芳光製

・道具飾席  宝善亭二階
 床 武野紹鴎書状 常智宛 十一月三日

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*許由:中国,古伝説上の隠者。字(あざな)は武仲。聖帝尭(ぎよう)が自分に天下を譲るという話を聞き,耳がけがれたといって潁水(えいすい)で耳を洗い,箕山(きざん)に隠れたと伝えられる。
*元贇焼:江戸時代,明からの帰化人陳元贇が名古屋で製した陶器。安南風の染付陶器を瀬戸の陶土で焼いた。
【以上大辞林より】

お茶席@菊水鉾(2022.07.16 Sat.)

お稽古先で券を購入。以前はお茶席のみでしたが、今年は粽とセットになっていました。浴衣を着て菊水鉾を目指す。3年ぶり、そして土曜日の宵山。覚悟はしていたけれどお人の群れにひるむ。さほど暑くないのが救い。まずはお茶席へ。お菓子(したたり)と共に粽引換券が。ちょうどお点前が始まるタイミング。お待ちの方もいらっしゃらなかったので、お手前を拝見しつつ、ゆるゆるとお菓子とお茶を美味しくいただく。粽を受け取り、鉾にあがる列に並ぶ。コンチキチンとお囃子が始まっていて、終わらないと上がれないという。いつもはお囃子の間もお人を上げているとか。それもびっくり(笑)Apple Store前でやぎと待ち合わせの予定。遅れてしまうかと思われたが、意外にさくさくと登れ、混雑を避け地下道にもぐり込み、遅れずにApple Store到着。店内を少し冷やかして、スペインバルへ移動。軽く食べて飲んで、帰宅。大相撲、結びの一番に間に合った。スペインバルでは「賑やか」と「騒がしい」の違いについて考察(苦笑)

・本日の装い:久保紀波さんの綿絽浴衣、竹富グンボー(交織)の帯を銀座結びに。帯留めは涼しげなガラス(STUDIO Ueno/Glass work)普段はご法度。お祭りだから(笑)お茶をいただく間は後ろに回して。足元はゴマ竹の下駄に麻の足袋。浴衣なので扇子ではなく、団扇(渋うちわ/栗川商店)を持って

・「菊水鉾」は町内にある、武野紹鴎の愛用した名水「菊水井」にちなんで名付けられた。「菊水井」は能楽の枕慈童(菊慈童)に因んでおり、菊水鉾はその枕慈童(菊慈童)を祀っている。武野紹鴎は大黒庵と号し「菊水井」の地に住す。その跡地には平成15年まで金剛能楽堂があり、井戸も残されていたそうだ。現在はマンションになり石碑のみ。そう言えば、先日から通うことになったNHK文化センターが入るビルの前には「円山応挙宅址」の碑があった。さまざま昔のことを頭に入れて京の町を歩くと、楽しい。それには学び。学ばねば!(笑)