正倉院展 (2018.11.11 Sun.)

まだまだ続くよ芸術の秋。入場券をいただいて、やぎは初めて私は久しぶりの正倉院展。夕方がいちばん空いていると耳にして、ゆっくりと出向く。久しぶりの奈良、日帰りはできるけれど一泊で。前回は京都へ越してきたばかりの2011年秋。香木「蘭奢待」が出陳された第63回。そのときに比べると第70回はビジュアル的に楽しめるものが多かった印象。ポスターにもなっていた「玳瑁螺鈿八角箱」は驚きだった。その他にも「平螺鈿背八角鏡」「繍線鞋」などなど、当時の仕事にくらくら。「花氈」「色氈」などのフェルト(2015年春に従来考えられていたカシミヤに似た山羊の毛ではなく、羊毛であることが分かったと発表された)の敷物も興味深かったし「銅匙」なども素敵だった。第70回を迎えてなお初出陳があることにもびっくり。

よいものを見たらよいお酒が飲みたくなります。はい(笑)今日はお料理も軽めにワインバー「Seve」さん。今宵も鼻をきかせて見つけたお店。地元出身のご店主の、静かな地元愛もいい塩梅。ワインもお料理もこれまたいい塩梅で相客にも恵まれ楽しいひとときとなる。日帰りではなくちょっと贅沢に、奈良ステイにしてよかった。

書と茶 (2018.01.21 Sat.)

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昨日は書の初稽古。明治の三筆を知る。以下覚書。

日下部鳴鶴(くさかべめいかく):
[1838〜1922]書家。彦根の人。本名,東作。字は子暘。野鶴とも号す。清の楊守敬に啓発されて漢六朝書道の書法を研究。特に漢隷は一世を風靡し、多くの門下生を輩出。

中林梧竹(なかばやしごちく):
[1827〜1913]書家。佐賀の人。名は隆経,通称彦四郎。六朝の書法を探究、多数の碑拓と新書風をもたらした。書壇への影響力は大きく、「梧竹堂書話」の著でも知られる。

巌谷一六(いわやいちろく):
[1834〜1905]政治家書家。近江の人。名は修。貴族院議員。書は最初菱湖流を学び、のち来日した楊守敬に六朝書風を学び独自の書風を確立。

〈人物説明はスーパー大辞林より〉

本日はお茶、会始め。本日目にした禅語覚書。

幽鳥語喃喃 辞雲入乱峰(禅林句集)
鶯語吟修竹
話尽山雲海月情(碧厳録)

お抹茶をいただいた後はなぜかカッフェを飲みたくなる。八百一本館の屋上「コーヒーキヨスク」で畑をみながらひとやすみ。学んだことをひとつでも身につけられるようにしたいなぁとつらつらと思いながら。今年の抱負。って毎回同じことを言ってるような気がする(笑)

江戸期の私塾を訪ねる (2017.12.20 Wed.)

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Y先生の週一講座。本日年内最後。懸案のご近所私塾探訪。下調べそして案内役はKさん。一時間のレクチャーの後、出発。以下ルートなど覚書。

●訪問箇所:

1)松永尺五「春秋館」跡:西洞院二条下ル

[1592〜1657]江戸前期の儒者。京都の人。名は昌三。松永貞徳の子。藤原惺窩の弟子。林羅山とは対照的に,禄仕せず長年京都で私塾を経営。門下に木下順庵貝原益軒安東省庵などを輩出。著「彝倫(いりん)抄」「尺五先生全集」など。

2)伊藤仁斎「古義堂」跡:東堀川下立売上ル
 *近くに、山崎闇斎[1618〜1682]邸跡

[1627〜1705]江戸前期の儒学者。古義学の祖。京都の人。名は維楨(これえだ),字(あざな)は源佐(げんすけ)。年来学んできた朱子学に疑問を抱き,直接古典,ことに「論語」「孟子」の真義をつかんで仁義の実践躬行(きゅうこう)を求める古義学を首唱。京都堀川に古義堂を開いて堀川学派と呼ばれ,門弟三千余人におよんだ。著「論語古義」「孟子古義」「語孟字義」「童子問」など。

3)宇都宮遯庵「求身堂」跡:高倉通椹木町

[1633〜1707]江戸前中期の儒学者。岩国藩儒。名は的,通称は三近。松永尺五に朱子学を学ぶ。著「日本古今人物史」中の秀吉の部下,中川清秀(1542〜1583)の項の記載が幕府にとがめられ,岩国に数年蟄居を命ぜられた。

4)石田梅岩塾跡:車屋町御池上ル東側

[1685~1744]江戸中期の思想家。石門(せきもん)心学の始祖。丹波の人。本名、興長。小栗了雲に師事。実践的倫理思想をわかりやすく説き、町人層に歓迎された。著「都鄙(とひ)問答」「斉家論」など。

1)から3)人物詳細は「スーパー大辞林」より
4)は「デジタル大辞泉」より

例えば伊藤仁斎の、学ぼうとする者は、学問の真理の前では対等であるという終生変わらぬ姿勢「本物の学問とは、人生いかに生きるべきかをひたむきに探求することである」といった言葉に、江戸時代の学者たちの哲学を垣間見ることができ、そしてそれを「実践」していたことを実際に跡地を訪れてより身近に感じることができ、深い感銘を受けた。

三度目のイモムシ (2017.09.23 Sat.)

我が家の庭の楠に、今夏アオスジアゲハのイモムシくんが三回。最初は一匹、次は二匹、最後は9月に入って三匹。計ったようだ(笑)初回と二回目、いずれも蛹になる前に忽然と消えてしまった。自然の摂理に介入してよいものかどうか大いに悩んだ末、今回はプランターごと縁側に取り込むことにした(9月6日)。

毎日観察しているといろいろ発見がある。図鑑には楠の葉表に糸で座を作る、とあった。しかし実際にイモちゃん(大)が座を作ったのは葉の裏。しかもこのイモちゃん。蛹になる前に「グランドジャーニー」と洒落込んだのだ(初回と二回も「旅」をしてどこかでちゃんと蛹になって羽化している可能性が見えた。少し心が軽くなった)。楠を降りて長い間あちこちうろうろ(9月20日)。この時点で濃い緑色だった体は透明度を増し黄緑色に。体も小さくなっていた。かなり離れたお風呂場の扉までいっているところをやぎに保護され、楠に戻された。それから2日後(9月22日)に楠の葉裏で座を作り蛹になっていたのが確認された。そして本日の三匹の様子および9月9日撮影のイモちゃん(小)。

イモちゃん(大)を保護するときに、よく言われるようにツノと匂いを出したそうだ。そしてその匂いがまさに「樟脳」。いい匂いだったとやぎ(笑)

さてさて、羽化する瞬間を見られるだろうか。

チーズセミナー (2017.08.05 Sat.)

フロマージュ・ドゥ・ミテスさんと前田豊三郎商店さんの企画、「季節のチーズとワイン vol.1」へ参加。今回はスライドで製作過程や畑の様子なども拝見。「食べ比べ」という企画もあって今まで以上に充実した内容。同じテーブルになった方々とも楽しくお話ができ、食べて飲んで学ぶ。こう言う勉強ならすっと頭に入ってくる。現金なものです(笑)さて、以下覚書(当日の資料一部抜粋、参照)

●STE MAURE DE LA DRAGONNIERE サントモールドゥラゴニエ/山羊/フランス アンドルエロワール県
 *AOPサントモールドトゥーレーヌのモンス氏オリジナル熟成 AOPとして義務付けられている熟成期間より早く生産者から引き取りモンス氏好みに仕上げられている。「ドゥラゴニエ」は生産地の名前。

▲ペティアン レ・ガ!レ・フィーユ! 2015 フランツ・ソーモン/フランス・ロワール/白・微発泡・シュナンブラン

●COULOMMIERS LAIT CRU クロミエレクリュ/牛(無殺菌乳)・白カビ/フランス 
 *ブリドモー、ブリドムラン、クロミエはブリ三兄弟と呼ばれている。クロミエは末っ子。

▲ブルゴーニュ・アリゴテ ル・アルディ 2014 ドメーヌ・バロラン&F/フランス・ロワール/白

●TOMME DE SABOIE Fermier トムドサヴォアフェルミエ/牛・セミハード/フランス サヴォワ地方 サヴォワ県
 *IGP(保護指定地域認証)を持つサヴォワを代表するチーズ。圧縮して水分を抜き造られる。そのため組織には小さな気泡が多く見られる。TOMMEは大きさを指す。
 **このチーズの製造過程で乳酸菌の働きが活発に成りすぎ偶然できたチーズがトムクラユーズ。「クラユーズ」は“ほろほろくずれる”という意味の方言。

▲シュターニュ・ルージュ・ガメイ 2015 ジャック・マイエ/フランス・サヴォワ/赤

●BLU DI BURALA ブルーディブッファラ/水牛・青カビ/イタリア・ロンバルディア
 *ベルガモにある水牛のチーズ造りで高い評価を受けている「グリッティーニ家」のブルーノさんが手がける青カビのチーズ。ゴルゴンゾーラと同じ菌。

▲サンス・フル シードル 2014 タケダワイナリー/日本・山形

●TALEGGIO タレッジョ/牛・ウオッシュ/イタリア・ロンバルディア
 *むっちりと柔らかいチーズを指すstracchinoのひとつ。20世紀に入ってから他のものと区別して「タレッジョ」(生産地の渓谷名)と呼ばれるようになった。stracchinoは「疲れはてた」という意味で、アルプスの夏の牧草を食べて下山した牛のミルクを形容してそう呼ぶ。

▲ドラゴ 2011 ラ・メルカレッチャ/イタリア・トスカーナ/赤・チリエジョーロ