一休さん (2017.07.29 Sat.)

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昨日の一休シンポジウム@花園大学に続いて本日は京田辺の一休寺さんでシンポジウム開催。始めて訪れる場所ゆえ、余裕を持って伺い方丈や本堂などへもお詣りする。一休禅師のお墓(宮内庁管理)にまずは手を合わせる。といっても中には入れず、扉の前から。方丈中央の内陣(昭堂)には一休禅師の木像が安置されていた。この木像は「一休禅師逝去の年に高弟墨済禅師に命じて作らせたものでご自身の頭髪と髭を植えたとされている」そうだ。

さてシンポジウム。場所は江庵にて。昨日のシンポジウムに御登壇された研究者に加え郷土史家の古川章さんとNHKエデュケーショナルディレクターの藤原桃子さん。藤原さんは『オトナの一休さん』制作にあたってのお話を。正直なところ、藤原さんの制作裏話を一番楽しみに伺った(笑)

昨日に続き興味深くお話を拝聴して山を降りる。京都に戻りやぎとイル・カントで待ち合わせ。楽しく学び、そして美味しいものを飲み、食べる。なんとも充実した土曜日となった。

茶の湯文化学会 (2017.06.10 Sat.)

「学会」と名がつくととても敷居が高そうである。しかし「茶の湯文化学会」は会員の資格制限を設けておらず会費を納めれば誰でも入会可能。数年前の新聞記事でこの学会の存在を遅まきながら知り入会した。 東京、静岡、名古屋、近畿、高知、北陸、金沢の各支部で例会(研究発表)が行われる他、年に一度の大会(研究発表、総会、シンポジウム、懇親会等)そして研修旅行が行われている。今年の大会は京都。その上ご近所の同志社大学今出川キャンパス。昨年(@名古屋)はフランス行きと重なり、参加できなかったのでその分も楽しみに伺う。誰でも入会可能な学会なれど、発表はその分野のスペシャリスト。毎回興味深い内容で聞き漏らしてはなるまじ!

大会の詳細については茶の湯文化学会HPにて。

後半のシンポジウム、パネリストのお一人、農学博士の白幡洋三郎先生(国際日本文化研究センター名誉教授)のお話の中でイギリスの「ランドスケープガーデン」(landscape garden/風景式庭園)と日本の大名庭園「回遊式庭園」が18世紀、ほぼ同時期に発生したということを知る。それまでフランスやイギリスでは、ヴェルサイユの宮殿などに見るように平らで幾何学的・人工的だった(regular garden/整形式庭園)。そしてその庭は建物の中から見ることが前提。それが、起伏に富んで自然を映したものに変わり歩きながら景色を楽しむようになった。それにより絵画の飾り方(展示方法)も変わっていったというお話も面白かった。壁一面を埋め尽くすように絵画が並べられていたものが、歩きながらひとつひとつを鑑賞するように横一列に飾られるようになったということ(=プロムナード)。なおイギリスで「ランドスケープガーデン」が造られるようになった大きなきっかけは裕福な貴族の子弟が行った「グランドツアー」(Grand Tour)。代表的な行き先は「イタリア」、そこで見た庭園を模したのが始まりだったそうだ。

白幡洋三郎先生のお話を拝聴してますます庭に興味が募る。先生のご著書もぜひ拝読してみよう。日本の庭園に興味が持てずドイツに留学したのに、「枯山水」など日本庭園について質問ぜめでその上発表もしなくてはならない状況になり、それが日本庭園の研究を含め、東西の文化の違いに研究の重心を移していくきっかけだったそうだ。質問してくださったドイツの皆様、ありがとうございます!(笑)

たくさんの新しい興味の種が私の中にも撒かれた。しっかり育てていこう。ここに記して実行を誓う。さて、我が家の庭。うれしいことに白糸草が数を順調に増やしている。

君の名は (2017.06.09 Fri.)

プランターから芽を出した幼木。何の木かいまひとつ判然としなかった。昨日ふと見ると葉っぱが随分と食べられている。誰の仕業だろうと注意深く見ると、いました、イモムシくん!どうやら「アオスジアゲハ」の幼虫のよう。手元の図鑑で調べるとアオスジアゲハの幼虫はクスノキ科を食すとある。木の図鑑で調べると「クスノキ」に間違いなさそうだ。イモムシくんが教えてくれた木の正体。

そのイモムシくんはどうやら終齢(5齢)。葉っぱの表で静止して蛹になるらしい。昨日は動く気配が見当たらなかったので、蛹になる日も近いのか。今朝5時ごろに再び観察。いない!忽然と姿を消してしまった!!はやる気持ちを抑えてくまなく探してみたら先っちょの葉っぱをムシムシ食べていた。ほっ。しばらく眺めていたら食べ終わったと見えてのしのし元の葉っぱに戻っていく。その様子もかわいい。件の葉っぱまで戻るとうんしょうんしょと方向転換。頭を上にして昨日見たポーズに収まった。誰に教えてもらう訳でもないのに、住処の葉っぱから一番遠くにある葉を食べて、また住処に戻ってくる。鳥などに捕獲される危険を少なくするためだと思われますが、その姿がまた健気でスリスリしたくなる。それにしてもこんなにイモムシが好きだったとは!(笑)と言っても今のところアゲハの幼虫だけですけど。

白隠に近づく (2017.06.07 Wed.)

白隠慧鶴の禅画・墨跡研究で名高い芳澤勝弘先生が市民講座を新しく始められた。今日はその初回。楽しみに二条城にほど近い先生のラボへ。一階はカフェになっていて二階がギャラリー。その上の三階で記念すべき第一回。先生によるギャラリートーク。展示されている作品の解説をお聞きする。終了後は最初だからと茶話会(酒話会か・笑)を催してくださった。楽しく飲み食べ初めてお会いする方ともお話がはずむ。先生の市民講座が、これからどんな風に展開していくのか、とても楽しみです。

通りを挟んで向かいは工事中。外資系の高級ホテルができるとか。四角いビルばかりが増えていく京都。こんなことでいいのだろうか…

阿含経 (2017.05.04 Thu.)

写真は本文と関係ありません(笑)庭で羽化を待つコミスジの蛹。

阿含はアーガマ agama の音写。その中のディーガニーヤ第27、世起経(アッガンニャ経)を学ぶ。阿含経は大乗仏教発生前のもので、ブッダの教えに比較的近いと考えられている。比丘を目指していた沙弥のヴァーセッタとヴァーラドヴァージャ、二人は世尊が夕方、外で経行(きんひん=歩きながらの瞑想)されているのを見かけ、法話をしてもらおうと近づいた。その二人に世尊が話しかけるスタイルで物語は進む。世界の成り立ちと崩壊、カーストについて。釈迦仏教の世界観に触れられたいへん面白かった。釈迦仏教がカーストを明確に否定していることも理解できた。そして、キリスト教ではリンゴが禁断の果実だが、仏教においては「稲」だったことも興味深い。

・沙弥=見習い
・別住=他の宗教を信じていた人には観察期間が設けられる。その観察期間のこと
・十悪十善=業を作る基本的なもの
・光音天=世界は下から、つまり地獄から滅びていく。最後に光音天だけが存在するので、皆ここに転生する。そして世界は上から造られていき、転生したものはまた元の場所に戻される。
・味地(rasapathavi)=rasaはエッセンス、pathaviは地面 あるとき牛乳に皮膜が張る様に水の上に出現した薄皮。あまりに美味で食べたものに「渇愛」が生じる。そして味地を食べ続けると体に堅さが現れ、容姿が様々に変化し美醜が生じる。美しいものが醜いものを軽蔑するようになり「慢心」を持つものが誕生。そしてこの慢心のせいで味地は失われる。代わりに同じく美味な地苔が現れ、味地と同様の結果を生む。次にパダーつる草についても繰り返される。そしてついに耕さなくても実る稲の出現!そのお米を食べ続けた結果、生き物に男女の身体的な違いが現れ、「貪欲」が生じ淫法を行う様になった。淫法を隠すために家を建て始める。一方惰性な者たちはその都度米を運ぶのが面倒になり、朝晩二回分を一回に、やがて2日に一回、4日に一回、8日に一回しか運ばない者が出現。そして貯槽された米を食べる様になると籾殻が出来、一度刈られた稲は再生しなくなる。人々は稲を分割し所有者を決め境界を設ける。しかし守らず人の分を取って食べる者が。皆は彼は諌め、彼は「わかった」と言いながらも止めず、人々は彼を棒などで打ち据えた。これが「揄盗」「避難」「妄語」「刑罰」の始まりである。と言う様なことが語られている。

「ねこもしゃくしも」は、ねこ(禰子)=禰宜の子孫 しゃくし(釈子)=仏弟子、お釈迦さまの弟子 だったことも知る!「猫も杓子も」じゃなかったのね(笑)