ホロロ(2021.03.04 Thu.)

小豆島で、海沿いにあるお宿の近くを散歩していて「壷井繁治詩碑」に偶然行きあたった。説明には“(前略)島のホロロ石をモチーフにした詩碑は、繁治没後10年目の昭和59年に建立された。”とあった。「ホロロ石」とはなんだろう。すぐに調べて見たが、ヒットするのはこの詩碑。夕食時に宿の方に尋ねてみたがわからなかった。戻って改めて調べて見ると…

唐臼の一部分であった。徳島県立図書館のサイト、郷土研究発表会紀要第39号というページの『「からうす」の構造からみる三好町の文化圏』に“横棹の中心よりやゝ後寄りに棹をささえる石製の「ほろろ」があって”という記述があり判明した。全文はこちらで。美濃加茂市民ミュージアムにはわかりやすいイラストが掲載されていた。ひとつ賢くなりまし(笑)

詩碑には、“石は億萬年を黙って暮らしつづけた その間に空は晴れたり曇ったりした”という詩が刻まれている。

土の勉強会(2021.02.16 Tue.)


Photo by iPhone 11 Pro/ポートレートモード

昨年9月に電力会社をスイッチした。その会社のオンライン勉強会に昨日参加。講師は白戸康人氏、タイトルは【土壌中の炭素を増やし、地球温暖化の緩和を目指す】白戸さんのお話はとてもわかりやすく、たいへん有意義でありました。作り手ではなく購入する側ですが、知識を得て自分の頭で考えて、最良と思われる選択をできる限りして行きたい。その為にも「学び」は大切。美しいと眺めていた「水田」からもメタンが発生していることを知る。その抑制には「中干し」期間の延長が効果的だとか。土を肥沃にし作物の育成に有効だと行われてきた堆肥をすき込むことが、土壌中の炭素を増やすことにも繋がっているということも知り、先人の知恵に改めて感じ入る。「4パーミル・イニシアティブ」(土の中の炭素を0.4%(4/1000)増やすことができれば、大気の二酸化炭素の上昇を抑えられる)と呼ばれる取り組に関して、故郷「山梨県」の名前が出た。全国に先駆けてこの取り組みを行なっているそうだ。誇らしい!

「4パーミルイニシアチブ」取り組み動画をYouTubeで公開 山梨県

春の兆し(2020.02.12 Fri.)

とある勉強会でご一緒だった方から詩が届いた。内村鑑三の「二月中旬」。“冬”をコロナと置き換えることもできようか。声に出して読むと、心の奥から温かく力強い思いが湧いてきた。

 風はまだ寒くある、
 土はまだ固く凍ばる、
 青きは未だ野を飾らない、
 清きは未だ空に響かない、
 冬は未だ我等を去らない、
 彼の威力は今尚ほ我等を壓する。
 
 然れど日は稍々長くなった、
 温かき風は時には来る、
 芹は泉のほとりに生えて、
 魚は時々巣を出て遊ぶ、
 冬の威力はすでに挫けた、
 春の到来は遠くない。

もうひとつ。「意志の楽観主義、知性の悲観主義」(Pessimismo dell’intelligenza, ottimismo della volontà.)20世紀イタリアの思想家アントニオ・グラムシの言葉も書き記しておく。

書初め(2021.01.02 Sat.)

快晴。ゆるゆると起き出して箱根駅伝。子供の頃からの習慣で、これを見ないと新しい年を迎えた気分にならない。そして書初め。今年こそ、書が上達しますように、古筆を少しは読めるように、と願いながら先生にいただいた短冊に先生が選んでくださったお歌を書く。

【詞書】おほなほひのうた
あたらしき としのはしめに かくしこそ ちとせをかねて たのしきをつめ(読み人知らず)

この歌は、古今和歌集 巻第二十 大歌所御歌(おほうたどころのおほんうた)の巻頭に収められている。詞書の「おほなほひ」とは新嘗祭の際に行われる宴のことだとか。「大歌所」は“八世紀後半に設置された宮中の役所。宮廷の諸行事の奏楽のうち,大歌その他の国風歌舞(くにぶりのうたまい)の演奏を担当する機関。外来楽舞担当の雅楽寮と対置された。”と辞書に載る。

最後の「たのしきをつめ」は「たのしきをへめ」となっている伝本もあるそうです。「へめ」だと「やり尽くそう」、「つめ」だと「積み重ねよう」というニュアンスだそうだ。実際にしたためた文字(御手本)は下記。

「新しき(支)年の(能)は(者)しめにか(可)くしこそ千歳を(越)か(可)ねて(天)楽しき(支)をつ(津)め」

写真は恥ずかしくて載せられず(笑)代わりの写真はずらり勢揃いのムーミン谷の仲間たち。アドベントカレンダーから飛び出しました。

ヤマガラ(2020.11.24 Tue.)

本日出会ったお歌。

    やまからの まはすくるみの とにかくに もてあつかふは こころなりけり    

作者は藤原光俊、『新撰和歌六帖(新撰六帖題和歌)』第六:木(02430)及び『夫木和歌抄(夫木抄)』巻第二十七:雑九(12883)に載る。「国際日本文化研究所センター」のデータベースで掲載を確認。データベース、たいへん有難いものでしたが、なぜか作者検索の一覧に「藤原光俊」の名が見当たりませんでした。語句検索で「光俊」と入れ、AND検索で「やまから」と入れ、二件がヒット。

●藤原光俊:建仁三年(1203)-建治二年(1276) 鎌倉時代の公家、歌人
“法名真観。右大弁入道とも称せられた。正四位右大弁に至る。父は光親。母は順徳院乳母経子。為家らと『新撰六帖題和歌』を詠み、『春日若宮社歌合』を行ない、いわゆる反御子左家の旗揚を行なった。『万代集』『現存和歌六帖』『秋風抄』『閑窓撰歌合』『秋風和歌集』などの私撰集撰集に関連した。新勅撰集初出。”(“”内ネットミュージアム兵庫文学館より)

●夫木和歌抄(ふぼくわかしょう):歌集。三六巻。藤原長清撰。1310年頃に成立か。万葉集以降の和歌のうちから,従来の撰にもれた約一七三五〇首を,四季・雑に部立てし,さらに歌題によって分類した類題和歌集。現在散逸した私撰集・私家集の歌を含み,資料として貴重。夫木集。(スーパー大辞林)

ヤマガラ(山雀)が胡桃を回すのかとコトバンクで調べてみたら“鳴き声もよく古来飼い鳥とし、また飼いならして「おみくじ引き」などの芸をやらせる”とあった。よく見かけるヤマガラがそんな鳥だったとは!