白生地を学ぶ(2020.11.07 Sat.)

友人と連れ立って“【 第一回 京友禅のお話会 荷葉日 】「白生地のできるまで」糸繰体験付き”(株式会社月虹舎主催)というお話会へ。場所は山科伯爵邸 源鳳院。友人とは会場で待ち合わせ。運良く出かける頃には雨もあがり徒歩で向かう。雨に洗われた照り葉を眺めながらてくてくと。お話会では、今まで「白生地」と一括りに考えていた、白生地に対する考えが大いに改まる。元々、紬や木綿が好きで、柔らかものが少々苦手ということもあり、白生地にお近づきになる機会も多くなく。でも教えてくださった方の丁寧なご説明や素晴らしい資料も大いに助けになり、理解が深まると共に、愛も芽生えて。後半はパーソナルカラー診断に基づいて、似合う白生地のご提案も。

白生地と言えば、数年前に京丹後の小林染工房さんの染めに恋をして、作っていただこう!と盛り上がり、そのための反物を買い求めた。何度かやりとりを重ねながら今一つ自分の中でイメージが成熟せず、プロジェクトは暗礁に乗り上げそのままに。今こそ、リスタートか?今日のご縁がプロジェクト完成に向かうキーとなるのか!?乞うご期待(笑)

●覚書:絹糸は拠りをかければかけるほど艶が少なくなる(マットになる)。着物一反表地だけでお蚕さんが約3,000粒(りゅう)必要

タイムマシンがあったなら(2020.07.30 Thu.)

行ってみたい江戸の町。7月29日の讀賣新聞、その文化面に“疫病流行 江戸の緊急給付 迅速”“銭や米、5〜12日で”“積立金や町人自治組織の力”という興味深い見出し。経済史家の鈴木浩三さんが江戸の緊急給付について書いている。それによると江戸時代の日本はたびたび感染症に襲われたそうだ。天然痘や麻疹のほか、19世紀頃からはインフルエンザとみられる「風邪」の流行。感染症の大流行や災害時には、江戸に住む当時「其日稼」(そのひかせぎ)と呼ばれた行商人や日当で生活する職人などに対して、銭や米が緊急的に配られたとのこと。この給付は「御救」(おすくい)と呼ばれ、疫病に限っても頻繁に給付され、その給付は5日から12日で配り終えた、とある。人口100万と言われる大都会、江戸。武士をのぞく人口は60万人ほどで給付の対象はその半数。対象者がこれほどの数でありながら、短期間で配ることができたのは「安定した財源と、必要とする人々の情報を正確に把握できる仕組みがあった」こと。財源は「七分積金」* 給付や運用を担うのは「江戸町会所」。幕府の監督下ではあったが、武士でなく、有力商人である「勘定所御用達」10人や町人たちの代表「肝煎名主」6人が実質的に運営したそうだ。当時の江戸の「町」現代の市区町村よりも大きな権限を持つ自治組織だったらしい。そして日頃から町内住民のことをきめ細かく把握、だからいざというときにすばやく動くことができた。町の上部には武士である南北町奉行所、配下には330人の与力・同心がいたが、彼らだけではとても都市住民の暮らしを把握できないとコラムは教える。時代劇で生き生きと描かれるのが常の江戸の人たちですが、大いに実情に迫っているのかも。

ペリーの二度目の来航時(1854年)に幕府の交渉責任者となった大学頭、林複斎は「人命を第一に重んじることで日本は万国に勝っており、それゆえ300年近く太平が続いているのだ!」(『墨夷応接録』**)と啖呵を切ったとか。「武士たちの治世者としての自信は、実務能力と自治にたけた町人たちの実績によって裏付けられていたのである。」とコラムは締めくられている。

それぞれの立場で能力を発揮し、「社会」を運営していく。江戸にはまだまだたくさんの学ぶべきことがありそうです。しかしその江戸も終わりを告げた。よいところはそのままに緩やかにニッポンが変わっていくことは出来なかったのだろうか。「明治維新」とは何だったのか。もう一度きちんと学んでみたい。

*1791年設立。江戸の町人(地主)が毎年約2万5900両を拠出、幕府も基金として2万両を出資。今でいうところのファンドに相当、緊急的な給付「御救」に備えて備蓄。ふだんは地主向けの定理融資などで運用されていたとのこと

**林複斎による、江戸幕府とペリー艦隊との交渉について記された議事録

星の数ほどの(2020.07.11 Sat.)

感謝を厚生労働省クラスター対策班へ!西浦博先生たちが受けたであろう心ない言葉の何億倍もの感謝を捧げます。昨夜山中伸弥先生のサイトから辿り、山中先生と西浦先生の対談を拝聴した。我が家ではやぎから、子供たちが感染しても未発症か軽症について、大人と違って免疫が学習をあまりしていないからではないか、という仮説が出されていた。この仮説は正しいのか!? さて、そのクラスター対策班、先生たちの宿舎や食事について大いに心配をしておりましたが、やはりと思わせるコメントが。プロフェッショナルに本領を発揮してもらうのに、快適な宿舎、美味しい食事を提供するのは最低限のことではないだろうか。その上政府の決定が、さもさも専門家が決めたような、専門家に責任をなすりつけるような物言いに、大いに憤っておりましたが、さらにその気持ちが増幅。先生たちの使命感にただ乗りはいけません。その働きに十分に報いなくてはいけないでしょう。

対談を拝聴して、現実は非常に厳しいのだと認識。科学には甘言は存在せず、あまりに厳しい現実に泣きたくなることもありますが、科学だけがこの闇夜に存在するただひとつのカンテラ。わたしはこれからも科学を、そして西浦先生たちを心の拠り所にしたい。

ここに来てやはり空気感染はするんだと盛んに取り沙汰されていますが、エアロゾルと空気感染って同じ?違う?と今一つよくわからないと思っていたところに坂本史衣氏のレポート。とても分かりやすく解説されていました。

写真のネジバナ(ラン科)。確かにマクロで撮るとランの花です。

建築力続き(2020.07.04 Sat.)

ふたたびオニグモのお話。苦手な方は読まないでください。画像アップ、ご容赦のほど(笑)観察を続けている“ねずこ”と“たんじろう”(オニグモの雌と雄)。“ねずこ”は朝からお昼までに巣(というか「網」と言うべきか)をたたむ。このとき、基本のY字はそのまま。そして日が落ちてから(午後7時15分から30分頃)再び張り出し、およそ30分で完了。かたや“たんじろう”。観察初回(7/1)は昼間でも真ん中に鎮座していましたが、翌日から昼間はちゃんと物陰に潜むようになった。こちらは夕方に巣(網)をたたみ、やはり基本のY字はそのまま、その後張っている様子。7月2日の朝には見事に獲物がぐるぐる巻きになっていたのを目撃。昨夜(7/3)は梅雨前線が停滞し大雨。多少の雨では出動していた“ねずこ”と“たんじろう”ですが、さすがに二匹とも休業日としたようで、物陰から一歩も動かない。ただし昼間とは姿勢が違うので起きてはいるようです。観察は、つづく、かも。

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2020.02.06追記:昨日思いがけなく青空が見え、庭の草引きを。終わって勝手口へ向かう。途中にはねずこの巣(網)が。昼間なのにねずこがいる。しかも獲物を巻き巻きしている途中。急いでカメラを取りに戻りシャッターを切る。スクープ画像。でもこれはさすがにアップしかねる(笑)潜んでいるときも巣(網)とは繋がっているようなので、獲物がかかったら即座に感知できるのだろうか。クモの糸を調べていたら「クモの生態と糸(1)」「クモの生態と糸(2)」という詳しいレポート(昭和62年10月25日発行「科学と生物」社団法人日本農芸化学会)を発見。それにしてもクモの糸、凄すぎる。

角度が変わっていたねずこの巣(網)随分と高い位置に張られた、たんじろうの巣(網)。基本のY字も、壊されたり壊れたりするものね。でも壊れない限り使い回しなのかしら?新たな疑問。

建築力(2020.07.01 Wed.)

Photo by iPhone 11 Pro

クモ観察日記(家人よりクモは昆虫ではないと教えられ訂正)。今日は「オニグモ」のお話し。苦手な人は読まないでください(笑)勝手口の木戸から庭へ進む通り道に大きなオニグモの巣。思いもよらない場所から場所へ糸が張られている。昨日、うっかり壊してしまった。ここはダメだよ、と庇の裏側で睡眠中の本人に語りかけたけれど、夕方にはまた立派な巣が同じ場所に出来上がっていた。今朝、今度こそ慎重にと通ったつもりがやはり一部損壊。それにしてもどうやってこんなに立派な巣を張るのだろう。前にテレビで見たことがあったけれどうろ覚え。ちゃんと学ぼうと検索。

まず空中に糸を流すことから始まるそうだ。次は風任せ。流れた糸が風に乗って木の枝やブロック塀などに付着すると、それを伝って最初の糸を引く(どうやってこんな離れたところに、と思ってました。疑問解決)次にその糸の中程から糸を引きながら下降して基本のY字を作る。それを元に枠糸が引かれ、枠糸中心部を往復して縦糸を増やす。縦糸を引き終わると、中心から粘着力のない足場糸を外側に向かって引いて行く。それが終わると外側から中心に向かって粘着力のある糸を、足場糸を切りながら、引いて行く。最後に一度中心の糸を食べて、網のバランスを調整(驚き!)中心部の糸を貼り直して完成、だそうだ。(以上“日本自然保護協会HP参照”)

そしてこの巣は朝になると食べてしまい、日が落ちてからまた張り直すらしい。しかしウチの子(雌らしく「ねずこ」と命名)の巣、朝になってもそのままで、また私が一部壊してしまった次第。なぜ? ただのレイジー!? 個体差や性差、地域差などによって異なる可能性があるとの記述も。もう一匹オニグモと思われるものが、家の外に巣を張っているけれど、こっち(小さくて雄だと思われるので「たんじろう」と命名)は昼間もずっと真ん中に鎮座ましましていらっしゃる。そしてたんじろの巣はねずこよりずっと細かい。ふむ。観察は続く。