「沖宮」(2021.06.12 Sat.)

なんとかお天気も持ちそうで安堵。久方振りに能楽堂へ。新作能「沖宮」を金剛能楽堂で観る。実行委員会代表・志村昌司さんのご挨拶及び解説でスタート。なるほどなるほど、一部二部の繋がりが鮮明に。プログラムのはじめ、村松稔之さんが歌う「黒髪」(作詞:石牟礼道子 作曲:佐藤岳晶)の出だしで不覚にも涙が落ちる。新作能「沖宮」の世界も深深と堪能。動きの少なさに反比例した表現の奥深さ。衣装の重要性。一瞬一瞬の静かで美しい動き。その動きが連続されさらなる美しさが生まれる。小さく静かな、しかし大きくダイナミックな場面展開。父が観世流を習っていたので、若い頃からお能に親しむ機会はあった。でも最初は珍紛漢紛。大道具などで場面説明がないから、何が何だか。でも次第にあらすじさえ押さえておけば門外漢でも楽しめると気付いた。

今日は普段よりお洒落をして(当社比・笑)背筋を伸ばしてお能を見て、その物語や動きを通して様々なことを考えた。貴重で楽しい時間。帰り道「素敵なコーディネートですね」とうれしい言葉を掛けてくださった方あり。なんと熊本からお出ましでした。数時間のときを同じ場所で過ごし、同じ物語を見て、交わす言葉は少しだけれど、温かく心がしっかりと交わったような。じんわりと余韻を感じての帰路。あぁ、やっぱりこういう時間は必須!

時節柄、開催までには多くの困難があったことと拝察申し上げます。無事上演が叶い、その舞台を拝見できたことをたいへん嬉しく存じます。関係者の皆様へ、心からの感謝を申し上げます。

本日の出で立ち覚書:光佳染織さんの紬に竹富島の帯(竹富グンボー)、手には染司よしおかさんの海色シフォンのショール。