修学院離宮その2(2024.01.19 Fri.)

修学院離宮には上(かみ)・中(なか)・下(しも)と呼ばれる離宮が三つ。その三箇所は現在松並木で結ばれている。開場を待つ間にお話ししたスタッフの方によると松並木の赤松が昨今の暑さによるものか、枯れてきているものがあるという。拙宅の近所でも同様。赤松の方が黒松より暑さに弱いのだろうか。さて、下離宮には寿月観(じゅげつかん)、中離宮には楽只軒(らくしけん)と客殿、上離宮には隣雲邸(りんうんてい)と窮邃亭(きゅうすいてい/宝形造の茶屋)が建てられている。下離宮の寿月観、一の間に掛かる偏額「寿月観」は後水尾天皇のご宸筆。中離宮の客殿には霞棚と呼ばれる飾棚があり、桂離宮の桂棚、三宝院の醍醐棚とともに“天下の三棚”と称されている。その他にも「網干の欄干」と呼ばれる網を干した形を模した手すり(火災避けに水に関する意匠を取り入れる)や祇園祭の鉾の絵や鯉の絵が描かれた板戸など。上離宮の隣雲邸、軒下のたたきには漆喰に小石が一つ、二つ、三つと埋め込まれていて、「一二三石」(赤い石は鞍馬石、黒い石は賀茂川の石)と呼ばれているそうだ。場所ごとの風情が格別で、眺める景色がそれぞれにまた絶景。浴龍池(よくりゅうち)では舟遊びも楽しまれていたとか。とにかく総面積54万5千㎡の修学院離宮は全体としての佇まいが本当にいい。現在、この素晴らしい景観が残るのも、昭和39年(1964年)に上・中・下の各利休の間に展開する水田畑地(8万㎡)を買い上げて付属農地としたことが大きいと思う。英断! その水田畑地は元々の所有者に貸し出して実際にお米や農作物を育てているそうです。これも素晴らしい!!