乞巧奠@冷泉家 2006 (2014.06.24 Tue.)

2006年8月27日(日)に冷泉家の乞巧奠を拝見した。そのときの日記を転記。文章は当時のまま。

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最近入ったばかりのお茶花のお教室で予てより計画の冷泉家の乞巧奠。お一人うかがえない方が出たので私に 権利が回ってきた。棚からぼたもちで良い経験をさせていただく。

冷泉家に伝わる乞巧奠では牽牛・織女の二星に供物をし、 蹴鞠、雅楽、和歌などを手向けて、技が巧みになるよう祈る七夕の儀式。「星の座」は庭に設けられた祭壇。写真では何度か見ているけれど、冷泉家さんの実物を拝見するのは初めて。

この日かなり強い夕立があったので中だが本来はお庭に設える。 四脚の机の周囲に九本の灯台。後に二本の笹。笹の間には 梶の葉と糸を吊るした緒を張る。机上には、星に貸すため、琴・琵琶などの楽器を置き、食物、五色の布・糸、秋の七草を供える。最前列に角盥に水を張り、一葉の梶を浮かべる。この水にニ星を映して見る。

お供えの種類や配列を覚えるため、次のような和歌が伝えられているとのこと。さすがお歌の家。

 うりなすび ももなし からのさかずきに
 ささげ らんかず* むしあわび たい
 *らんかず(蘭花豆):フライビーンズ

儀式は午後陽の高いうちから手向けの蹴鞠で始まるようですが (実際に今も蹴鞠をしているのでしょうか?)私たちが 拝見したのは日没から始まる「雅楽」からでした。その後に「披講」(和歌を朗詠すること)と「流れの座」(当座の歌会)。「流れの座」は今で言う合コン?(笑)男女が向かいあって座り(このときは5対5)その場で各人別々の歌の題を 取りに行き、硯(重硯)と紙が配られ準備を整える。やがて男女の間には天の川に見立てた白布が敷かれ、牽牛と織女に擬された男女は歌を読み、扇に載せて交換し、「かえし」(返歌)を読んでまた交換。当時は翌朝鶏の声を聞くまで歌会を楽しんだようです。

この間約二時間。雅な昔にタイムスリップし、お公家さんの生活を垣間見ることができ、たいへん有意義でした。名のある家の歴史を文化を、今の世に残して行くことは容易なことではないと思います。でもどうか これからも引き継がれ後世に残って行きますように。(そのためには私も「友の会」へ入るべきか..)