心躍る再会、Oltrepò Paveseにて (2012.10.6 Sat.)

快晴。再会日和。まずはPaviaのメルカートでお買い物をして、バールでブランチ。そして12時26分の列車でBroniへ向かう。列車に飛び乗ってから電話。アンジェロシェフは駅へ向かっているとシニョーラの声。30分程で駅に着くと、懐かしい顔!シェフがホームで待っていてくれた。嬉しい再会。車に乗ってお家へ向かう。あれやこれや話したいことはたくさん。シェフからも近況のお話し。うんうんと聞いて、やぎにぱぱっと説明する。いや、ぱぱっと説明できないから適当に端折って。もういいかげんやぎもイタリア語、勉強するよろし(笑)

だんだんとブドウ畑が多くなり、丘陵地帯が見えてきた。「小さなトスカーナ」と呼ばれているんだよとシェフ。うん、確かに!パヴィーア郊外にこんな美しい場所があったなんて知らなかった。もちろんOltrepò Pavese、ワインは知っていたのでブドウ畑が広がる場所、というイメージはあったけれど。

シェフたちの引っ越し先、一階が店舗として使え二階が居住空間、敷地内には別棟があり、かわいい野菜畑とお庭。まだ手を入れている最中で、つい最近壁を塗り替えたんだよ。ここがバンニョでこっちが娘の部屋などとお家を案内してくださる。そしてすぐ隣りはワイナリー。サイコーです。

で、なんとダイニングのテーブルはもうセッティングされていて、お昼をご馳走になる段取り。シェフの家庭料理!何という贅沢。小さなアンティパスト(そうお二人は呼んでいた)に始まり、パスタ、煮込み料理、ドルチェと続く。ご近所の赤ワインに、ドルチェにはお隣の微発泡の白ワイン。ワインも美味しくお料理も、もちろん美味しく、私たちがこの旅で感じたイタリアの変化、モンティ政権のこと、高騰する税金、そして移民の問題などを語りながら、お料理にもワインにもしっかり舌鼓を打つ。日本だったら暗いムードになりがちな話題でも、楽しく食事をするという原則は守られるのがイタリアンマジック。自分の意見を述べる、人の話を聞く(聞かない人もいるけど・笑)、日本ではお茶を濁すか深刻になり過ぎるか、そのどちらかになってしまうところを、イタリアの人たちは良い意味で忘れっぽいから(笑)喧々諤々やっても、後腐れというものが、まずない(と思う)。

食事が始まる前に「ペペローニは好きか、ヨーコ」と聞かれて好きと答えたら、かなりホットなパッケリ(パスタ)だった。ピーマンのことだと思ったらトウガラシのことだった!娘のSはペペローニ抜き。どうやらシェフは今、トウガラシに凝っているよう(笑)アンティパストは三種で、その中のサラミ。美味しいものを作るには風が重要と言ったことや、林檎を使ったドルチェに入っているオレンジピールの作り方などの美味しい話題など、シェフならではのお話しもたくさん聞けて、本当に愉快な食卓だった。別棟をB&Bにして、イタリア語(娘のS担当、彼女は大学で英語とスペイン語を学んだ)ワイン(シニョーラ担当)お料理(もちろんアンジェロシェフ)を学べるようにしたらどうだろう。ワイナリーもご近所にたくさんあるし。実現したらステキ!!

楽しい時間はあっと言う間。気が付くともう夕方。大切なコレクションから私にはバローロ、やぎにはグラッパ、供に古いヴィンテージをいただく。ご近所を案内してもらい車で丘陵地帯をドライブ。そして駅の近くで皆でお茶をして、駅まで送ってもらい、お別れのご挨拶。半日という限られた時間だったけれど、本当によい時間を過ごした。偶然から必然に。ご縁を紡いで今に到る。感謝という言葉しか出てこない。正直、残念に思う変化も感じた今年のイタリアだったけれど、やはり旅をしてよかった。振り返ると何もかもが愛おしい。そんな風に思えるのも良くしてくださる方々がいるから。暮れ行く空を車窓から眺めながらしみじみと温かい心持ちになる。

2012年の旅もいよいよ終り。明日は7時のバスでリナーテへ向かい、フランクフルト経由で日本へ。